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オスマンは最後にそう言って食堂の方へと歩いて行き、アルトもまたフォンダンショコラを1つをトレーに乗せて厨房を後にした。
食堂の扉を閉じて廊下に出ると右からバタバタと走る複数人の足音と内ゲバの声、食堂からはダクトを通ったのかゾムの声が聞こえ、城内は急に賑やかになる。
次第に煩くなるBGMを耳にしながら総統室へと向かっていると、前からはトントンとエーミール、コネシマがのんびりと歩いて来た。
トントンとエーミールの2人はどの甘味が残っていても食べるし、コネシマに関しては甘いものが苦手なのをメンバー全員が知っているので、そもそも彼の分の甘味が無くなることはない。
…昔、1度だけコネシマの分が無くなったことがあったが、その際彼がガチ切れして食堂を半壊にしたことがあり、以降彼の分に手を出すのはタブーとされている。
em「あ、アルトさん!お菓子ありがとうございます」
『ええよええよ!皆で仲良う食べてな!』
kn「アルトが作ったのは甘さ控えめやで美味いわ!」
『そうやないとシッマ食べられへんやろ?』
tn「いつもすまんなぁ…」
『気にせんで!ほな、グルさん一喝してきまーす』
ーーー我々国軍 総統室
『グルさーん、仕事どや?』
扉を開けて顔を覗かせると、書類に筆を走らせるグルッペンの姿があった。
…ただ、その表情はどこか不満げだが。
『どしたん、そんな顔して』
gr『どうしたもこうしたも…お前フォンダンショコラ以外にも作ったんだろ』
食べられないなんて納得いかないゾ、と続けるグルッペン。
いい歳した大人のくせに何言ってんねん…と彼女は思うが、甘党の彼からすれば他のも食べたくなるのだろう。
特にグルッペンは彼女の作った甘味を好んでいる故に不服なのだ。
もちろん、仲間として長く付き合ってきたアルトにとって、それくらいは予測可能。
どうせ言うと思ったわ…と苦笑し、彼女がポーチから取り出したのは小さな包みで、それをトレーの上に置くと彼は期待の視線を向ける。
その包みの中にあったのは数枚の絞り出しクッキー。
こうなることを想定していたアルトが取り分けておいたのだ…トントンには内緒で。
『バレるとあかんでちょっとしか持ってこんかったけど』
gr「いや、構わん!礼を言うゾ!!」
向日葵のように輝くその笑顔を見て、アルトも口元を緩ませる。
甘やかしてまったなぁ…と思いながらも、きっとこれからもそうし続けるであろう。
これが彼女にとっての“幸せ”の1つなのだから。
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Aruto(プロフ) - コメントありがとうございます!ホントですか!?実は私もそのお言葉をいただいて(心が)ピョンピョンしてました!お仲間ですね^^!!!← 進展速度遅めの作品ではありますが、これからも「脅威(♀)」シリーズをよろしくお願いします!! (2020年3月27日 23時) (レス) id: e2efe79ded (このIDを非表示/違反報告)
不透明(プロフ) - 続編が来たって分かった瞬間部屋でずっとピョンピョンしてました(笑) これからも頑張ってください! (2020年3月27日 18時) (レス) id: 187d5f8a14 (このIDを非表示/違反報告)
Aruto(プロフ) - コメントありがとうございます^^まさか一気読みとは…!笑 そのお言葉が作者の糧となります、ありがとうございます!!!進展速度遅めのこのお話ですが、どうか今後ともよろしくお願いします!! (2020年3月27日 6時) (レス) id: e2efe79ded (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 面白くて一気に読んでしまいました笑 更新頑張ってください! (2020年3月27日 3時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Aruto | 作成日時:2020年3月25日 17時