06-2 ページ18
ｰｰｰ我々国 総統室
バン！と勢い良く開けられた扉。
その向こうにはグルッペンが険しい表情でソファーに座っており、それに向かい合って座るしんぺい神も雑面で顔は見えないが、感じ取れる雰囲気は重苦しいものであった。
sn｢ゾム…｣
扉の開く音でこちらを見たしんぺい神の口から出た言葉。
彼の名を呼ぶその声には覇気がなく弱々しい。
たった一言、己の名を呼ばれただけなのに。
聞いたその瞬間ゾムの心臓は、どくん、どくん、と嫌な鼓動を打つ。
アルトに何かあったん？
嫌や。
助けに行かな。
無事なん？
なんで誰も、何も言わんの？
なんでそんな顔しとんの？
腹痛い。
怖い。
嫌や。
嫌。
脈打つ心臓と痛みが増す腹部。
嫌な予感を感じたゾムの顔には、先程までの脂汗とは違う雫が滲み、頬を伝う。
kn｢おいゾム…グルッペン、何があったんや？｣
彼に声を掛けるも上の空…そんな精神が不安定になっているゾムに代わり、コネシマが問う。
その言葉にグルッペンは静かに目を閉じ、一度深呼吸をしてからゆっくりと話し出した。
gr｢γ国へ外交に行っていた3人が、兵士に紛れ込んでいたスパイと接触し交戦…｣
gr｢護衛についていたアルトが負傷した｣
zm｢アルトが…？｣
彼女は軍の中でもかなりの機動力と戦闘能力を持ち合わせている。
その実力は幹部全員が認めており、そう簡単にやられるわけがない。
誰もがそう思っていた…もちろん、グルッペンも。
gr｢俺の読みが甘かった…複数回続けて襲撃があった時点で、内通者がいる可能性を考慮すべきだった…もっと警戒すべきだったんだ｣
すまん…。
悲痛な表情で謝罪の言葉を述べるグルッペン。
しかし、ゾムが一番聞きたいのは彼の謝罪の言葉ではない。
zm｢アルトは…アルトは無事なん…？｣
己が片割れの容態。
腹部に感じる痛みとグルッペンの様子からして、軽傷ではないはず。
ならば、彼女は今…一体どうなっているのか？
sn｢γ国の使用人から聞いた話じゃ、刺されたのは左腹部で、命には別状はない。…ただ、刺傷が内臓まで達してて…｣
すぐには帰って来れない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 311人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Aruto(プロフ) - コメントありがとうございます！ホントですか！？実は私もそのお言葉をいただいて(心が)ピョンピョンしてました！お仲間ですね^^！！！← 進展速度遅めの作品ではありますが、これからも｢脅威(♀)｣シリーズをよろしくお願いします！！ (2020年3月27日 23時) (
レス) id: e2efe79ded (このIDを非表示/違反報告)
不透明(プロフ) - 続編が来たって分かった瞬間部屋でずっとﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝしてました（笑） これからも頑張ってください! (2020年3月27日 18時) (レス) id: 187d5f8a14 (このIDを非表示/違反報告)
Aruto(プロフ) - コメントありがとうございます^^まさか一気読みとは…！笑 そのお言葉が作者の糧となります、ありがとうございます！！！進展速度遅めのこのお話ですが、どうか今後ともよろしくお願いします！！ (2020年3月27日 6時) (レス) id: e2efe79ded (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 面白くて一気に読んでしまいました笑 更新頑張ってください！ (2020年3月27日 3時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Aruto | 作成日時：2020年3月25日 17時
