びんとろシェアハウス！！

さつまいもパン ページ39

ピンポーン、とチャイムが鳴った。


コタツに入っていたAはまるで飼い主が帰ってきたペットのようにぴこーん、と起き上がると玄関のロックを外した。



賢章「お！Aちゃんじゃん！数日ぶり〜！」


「賢章さん！数日ぶりです！お元気そうで何よりです！」


賢章の裏からひょっこりと花江が顔を出した。



花江「Aちゃーん俺もいるよ！久しぶりだね！」


「花江さん！お久しぶりです！会いたかったです！」


賢章「えー花ちゃんには会いたかったなら俺は別に会いたくなかったんだー？」


「え、いや、そういうことでは！」


先生「ハイハイからかわないの〜。A、これプレゼントだから。」



先生から手渡された紙袋に入っていたのは、白いフクロウのぬいぐるみ。



花江「え、なんでぬいぐるみ？」



花江の疑問はもっともだ。今日は別に何かの記念日でもなければAの誕生日でもない。もしそうだとしても、白いフクロウのぬいぐるみというチョイスに理由はあるのか。



先生は視線を逸らした。



先生「偶然見かけて……Aが喜びそうだと思って。」




当のAはと言うと、ぬいぐるみを両手に持ち、白いフクロウの琥珀色の瞳を見つめていた。



「先生……。」


Aが呟いた。


賢章「ん、何か言った？」



「先生！最高にかわいいプレゼントありがとうございます！！これ……これ大切にします！」



先生「ん、そうしな。」



Aはぬいぐるみをぎゅうっと胸元に抱き寄せ、自分の部屋へぬいぐるみを置きに行った。



正一「……先生。」



正一が静かに言った。


先生「ん、なに。」



正一「先生のせいで俺だけ挨拶しそびれたんだけど！」


先生「あ、悪い。」


先生が悪びれもせず言った。




かるてと「ふっ……すみません、玄関じゃ寒いですし、どうぞ。」


一部始終を見ていたかるてっとが半分笑いながら４人をリビングへ招いた。

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