びんとろシェアハウス！！

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図書館へと向かう道の途中、同級生がおもむろに口を開いた。




かるてと「そういえば一つ質問あるんだけどいい？」


Aは数秒黙った後、ゆっくりと答えた。


「……うん、いいよ。」



かるてと「なんでワンテンポ遅れての返事？」


同級生は笑った。



「えーっと……何でもない！質問がなに？」


かるてと「俺の名前分かる？」


Aはうっと言葉に詰まった。



「あー……えっと……音楽に関係しそうな名前だったよね！クラリネットみたいなレクイエムみたいな……。」



かるてと「……っく、ははは！クラリネットはともかくレクイエムて……改めてかるてっとです。たった２人の１年生同士仲良くしようぜ、よろしくぅ〜。」



「っあーかるてっとくん！そうだった！よろしくねぇ〜。」



かるてっとの調子に合わせて挨拶を返す。かるてっとはくくくと笑った。





Aは内心ほっと一息ついた。こっそりとかるてっとの装いを盗み見る。



校則がゆるいらしく２つボタンの空いたシャツの胸元からは青いＴシャツが覗いている。グレーのネクタイもゆるく巻かれていて決して望まれた着こなし方ではないだろう。しかし雰囲気にはどことなく清潔感があり、好青年といった印象も受けられる。




たった一人の同級生がどんな人なのか不安だったけど、社交的でおそらくユーモアもある。迷ってる人に声をかける親切心もある。そこから導き出される答えは一つ。



この人は＿＿＿




「いい人だ……。」


かるてと「ん、なんか言った？」


「ううん、何でもない！」



Aは大股で校舎内を闊歩するかるてっとの後ろでスカートを揺らした。




☆
学園びんとろーる、これにて一旦終了です。
また機会があれば後編で今回は存在の薄かった人たちについて触れたり学校での生活風景をお見せできたらと思います。お付き合いいただきありがとうございました。

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