04.ゆめのおはなし ページ4
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どこかで聞いたことがあるその声の持ち主は
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「二宮和也…」
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どうやら国民的スーパーアイドルのひとりだった。
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いつも聴いてるラジオ局じゃなくて、その隣にあったラジオ局を押してしまったようで
どうりでダンディーなおじさんの声が聴こえないと思った。
すぐに変えようと思ってスマホのロック画面を開く。
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でも。
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“え？いやいや、マジマジ。俺移動パラシュートだからさ…”
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「(いやパラシュートって…)」
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“お風呂はね水素水使ってんのよ”
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「(うわ無駄遣い…って絶対嘘でしょ)」
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清々しいその嘘と言う名の冗談があまりに面白くて結局終わりまで聴いてしまった自分がいて。
電車があっという間に感じられて家路を辿りながら調べてみるとなるほど、日曜22時にいつもあの局で彼はラジオをしてるらしく。
全く興味がなかった二宮和也というアイドルのことが気になり出す。
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自分から彼らが出てる歌番組とか、バラエティとかドラマとか見ることなかったなぁ、なんて。
CMは不可抗力で見てしまうけど、どちらかというと、とことん消臭！の彼の方が私は好き。
でも今のラジオはなかなか面白かった。
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「(…今度から聴いてみよう)」
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その日から私は日曜22時からはアイドル二宮くんのラジオを聴くようになった。
その人のラジオは基本屁理屈ばかりで、そして塩対応で、ゲームの話で流す曲をカットしてしまう。
SNSを何気なく開くと、彼のファンはそこがどうにもこうにも堪らないらしい。そこが彼の魅力なのかなぁ…って。
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仕事帰り。都会中の都会、キラキラとしたビル街を通り過ぎながらイヤホンをして
その人の屁理屈を聴くのが好きになった。
その人の真っ赤な嘘を聴くのが好きになった。
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今度はどんなお家設定が出てくるのか、楽しみになった。
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“ガチャ回そう、ねっ？俺ねポケットWi-Fiないと死んじゃう”
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「…大げさ(笑)」
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ふふふ、って笑ってるともうすぐ家に着くというタイミングで鳴るスマホ。
音の正体はラインで
その相手は誠くんで、内容はただただ「次の日曜日会えない？」ーーー…だった。
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