19.女はいつだって可愛くなれる魔法を持っているものなのよ ページ19
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【え？なんで既読無視なの？】
【ねえにのみやちゃーん】
【俺暇なんだけど。笑笑】
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知らねえよバーカ！ってディスプレイに映るメッセージたちに暴言を心の中で吐いていると
気がつけばあっという間に駅についていて
慌てて人混みに流されないように踏ん張ってホームへと降り立った。
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日曜日だから人は一体どこから湧き出てきたの？ってぐらいごった返していて
デート用に半年前買ってしまった可愛いヒールをかき鳴らして無事改札を通り抜ける。
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とりあえず晴れていてよかった。
一週間前の悪夢のような思い出が頭をよぎって、それが塊のように集まって私に頭痛を引き起こす。
お世辞にも快晴！と言えるほどの天気じゃなかったけれど太陽が出ていることにホッとして左胸を撫で下ろす。
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アイロンで巻いた髪の毛。
デート用の大粒のラメが入ってるアイシャドウ。
ハイライトもきちんと入れて、リップはティントの上にルージュを重ねる。色は程よい赤。
大人の女の落ち着いた、でも少女のような心を忘れていないと感じさせる服は一目惚れして即買いしたもの。
指先はボルドーのような赤に染め上げてる。
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約束をほっぽり投げられたとしても、お洒落を最大限にして誠くんの指定した店に自然に向かう足は
もう私の身体は彼に支配されているんだろう。
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このままじゃいけない、早くあの人から逃げないと闇が侵食して私の身体が壊れてしまう。
分かっているのに、誠くんに会えないと身体は正直でどんどん重くなる。
あの人の甘い笑顔が向けられたら、そんな重さは夢のようにどこかへ飛んでしまう。
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厄介な相手に、唾をつけられた。
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「誠くん」
誠「A」
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レストランの近くで待ち合わせ。誠くんは相変わらずジャケットでビシッと決めていて
私の姿を見つけたらふわふわとした笑顔で手招き。
ああ、やっぱり厄介。
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高鳴る胸に自分を裏切れず
レストランに入って麻里さんはと訊ねれば彼女は今日飲み会に参加していると
あんまり遅くなれないから今日はご飯だけになる、ごめんねと頭を撫でてくれたら私はなんでも許してしまう。
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そうして、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
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