85.人の気も知らないで！ ページ3
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マンガとか、ドラマとか。
そういう類のものの中でなら見たことがある。
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和也「ん。美味い。今度俺にもこっちバージョン作ってよ」
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唇の端についた、デミグラスを親指で拭ってその親指をペロリと舐めて
満足気に私を見てニッコリ。
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な、に、を、さ、れ、た、の？
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和也「…？A？フリーズしてるけど」
「……」
和也「…え、もしかして照れちゃった？(笑)」
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脳内映像を巻き戻す。
お腹ぺこぺこでもぐもぐしてた、私用のオムライス。スプーンにすくって
口まで運ぼうとしたら。
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急に私の手首を掴まれて、「え」と思ったら終わり。
その手首はカズの顔の方へと向かっていき、オムライスが乗ってるスプーンは見る見るうちにカズの口の中へ。
はたから見たら、私がカズにあーんしてる図。よくよく見るとカズが手首を掴んで誘導しているけど。
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スプーンをまるで舐めるかのように食べたカズは、若干の上目遣い。
ーーーー…もう分かるだろう。
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私の心臓がバカみたいにドクドク言ってるのが。
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「な、…、欲しかったら言えばいいでしょ！私の無理やり奪うみたいな、こんな」
和也「ちゅーだってしたことあるんだから何を今更」
「きっ、キスとはまた違う！」
和也「間接キスで照れちゃうんだ。へえ、可愛い」
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こんっっっっのクソ人たらしが！！
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ドキドキしてる私を見て余裕そうなカズを見て、ちょっと切ない。
切ないけど、ドキドキが勝ってもうどうしようもない。
なんでこれで付き合ってないのさ。なんでこれで私のこと好きじゃないのさ！
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芸能人なんてクソだ！ってガムを吐き捨てるように心の中で叫ぶ。
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和也「あ、ねえ」
「…なに」
和也「誠になんかされたら言ってよ」
「え？」
和也「一人で抱え込まないこと。なんかあったら絶対言えよ」
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ーーーー…麻里『二宮さんから手を引いてください』
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今度は
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「…うん、わかった」
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違う、嫌な胸の鳴り方がした。
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