102.反撃、開始！ ページ20
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すぅ、と息を吐く。
カズがゆっくりと頷く。
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ーーーー…さあ。
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「…誠くん」
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始めようか。
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私の呼びかけに、誠くんがこちらを向く。
それを確かめてから私はカバンに潜めておいたスマートフォンを取り出し操作して
『再生』ボタンを押す。
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ザザ、と雑音。
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ーーー…『なんですかこれ！』
誠『二人して同じ反応するんだね。さすが』
『は…？』
誠『嘘は書いてない。アイドルが女を飼ってるって本当のことじゃないか。そして君は飼われてる』
『飼われてなんか』
誠『俺の目の前で俺に飼われてよって言われてたじゃない』
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誠「……なんだ、これ」
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誠『念のため録音しておいたんだよね。この音源と記事を世間に知らせてみなよ。彼の人生は愚か、メンバーさんにも、もちろん君にも迷惑がかかる』
『……』
誠『彼はこの記事と録音を揉み消すために、アンバサダーを辞退した。そして君の前からいなくなった』
『……』
誠『そしてーーーー…麻里の元に行った』
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誠「おい、A」
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誠『俺はね。麻里と二宮を丸ごと潰すんだよ』
誠『麻里を手放すなんてそんなバカなことしないよ』
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誠「消せよ」
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誠『そんなに彼が好き？』
『記事を消してください』
誠『Aがまた俺のものになるんならね』
『それは無理です』
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誠「消せっつってんだろ！！！！」
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私がピ。とスマートフォンの録音機能を止めたのと
誠くんが私に食いかかるように襲ってきたのと
カズが誠くんの腕を強く引っ張ったのはすべて、同時だった。
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はぁっ、と誠くんの息が気持ち悪い速度であがっていく。
目つきは今までに見たことがないような、鬼の形相を浮かべてる。
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誠「ーーー…どういうことだ」
「どういうことも何も録音させてもらったんです。あの日呼び出された時の誠くんとの会話を」
誠「…なんでそんなこと」
和也「“なんで？”」
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フッ、とカズが鼻で笑う。
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和也「そんなの、俺がAに指示したからに決まってんだろ？」
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世界が、一変する。
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