96.使えるものは、使わなきゃ ページ14
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東京ドームのコンサート。
会場全体が熱気に包まれて、円陣を組む声が聞こえる。
やがてオープニングが始まって、大勢の人たちがペンライトやうちわを振ってメンバーが出てくるのを待っている。
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そんな中、私は何も見れていない。
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「どういうことですか」
誠「どういうことも何も、良心だよ。カズくんを近いところで見たいかなと思って関係者席を用意してあげたんだ」
「相葉さんをカズの代わりにアンバサダーに就任させたと聞きました。その関係でこの席を頂けたんですね」
誠「そうだよ。だから俺は良心で二席ある、この席の一つを君に譲ってあげた。特等席だよ？」
「…ヒナタちゃんとはどういったご関係で」
誠「あっちから誘って来たのが初めてかな。いい子だよ。俺の言うことならなんでも聞いてくれる。未来を約束されてる男だからね」
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誠「最初から、君を観察しといてくれって俺が頼んだからヒナタは君と仲良くしたんだ」
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ふっ。と誠くんが笑った瞬間、キャー！！と歓声が大きくなりイントロが流れる。
ーーーー…どうやら、ステージでは5人が登場したらしい。
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誠「嵐好きを演じてくれっていったら完璧な演技を見せてくれた。そして君を無事にここまで連れて来てくれた」
「…ヒナタちゃんは、本当に好きだったわけじゃないんですか」
誠「彼女が好きなのはバンドとか、そう言う方面。よくやってくれたよ」
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ーーーー…この人は、女を道具だと思っている。
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青山莉緒だって、ヒナタちゃんのことだって
麻里さんのことだってお金を、地位を与えてくれる便利な道具。
私はーーーー…、そんな自分の思う通りにならない女だからこんなに執着してくる。
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人じゃない。
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「…どうしてここに？話があるならわざわざコンサートを選ばなくたっていいじゃないですか」
誠「どうしてもここじゃなきゃ、ダメなんだよ」
「…は？」
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いやらしく口角をあげる、その人は。
もしかしたら私が思っているより
いや、私たちが思っているよりすごく強かな男だったのかもしれない。
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誠「どうしても、…ね」
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