45.まだ見ぬ世界へ ページ16
.
.
眩暈がした。
.
.
それは、果たして目の前に広がる非日常的な世界が目まぐるしく動くからか
はたまた、目の前の世界を受け入れられないからと一気に飲み干したアルコールのせいか
ーーー…唯一分かるのは
.
眩暈は、今目の前に広がる世界のせいだ。
.
.
「…あれ、政治家だよね」
和也「あ？あぁそうね」
「あそこにいるのは俳優さん」
和也「来るって言ってたからね」
「モデルさん」
和也「一回バラエティで共演したことあんなー」
「…か」
和也「えらない」
.
.
帰る、と言う言葉連発選手権があったら、私今絶対世界一位になれる。
さっきからずっと「帰る」って言葉を連投していたら、カズが先読みしてそれを塞ぐ。
.
無理やり腕を引っ張られ、足を踏み込んだ世界は私が普段生きている世界とはまるで別世界。
カズと同じく「テレビの中」にいる人たちはテレビで見るより俄然細くて、綺麗で、カッコよくて
キラキラした笑顔、オーラ。それらすべてに圧倒される。
.
特に女の人たちなんかは、素人でも分かるお高いドレスとかを身にまとっていて
明らかに他人のドレスの値打ちを目利きで調べてる。
カズに決めてもらってよかった、って胸の内を撫でた。
.
.
和也「ほら食え」
「こんな状況なのに美味しい、ありえない」
和也「当たり前。たっけぇんだから今のうちに口ん中に詰め込んだいた方いいよ」
「このお料理の食べ方わかんない…」
和也「テキトーに食えや。今俺しか見てないんだから」
.
こうなったらやけ食いじゃ！
せっかく来たんだからこの、テーブルに広げられているお高そうなお料理食べ尽くしてやる！
.
もぐもぐ、もぐもぐ。リスみたいな口をした私をずっとカズはくくく、と喉を鳴らして笑っていて
誰のせいだよ！クッソ！って腹の中で睨めば
.
.
＊「ニノ！うそ、久しぶり」
和也「あ、あー…久しぶり。来てたんだ」
＊「社長に無理やり。おかげで明日の仕事つっめつめ」
和也「キツイなー、それ(笑)」
.
カズにフランクに話しかけて来たのは、よくドラマで見る主演を張るような男性俳優で。
フランクに返したカズの姿を見て
口の中のものは一気に味を失った。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4627人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
