あの傭兵に妹がいたようで【第五人格】 (ページ40)

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『僕がそこで、肯定又は否定の返事を返したとしたら？』

「貴方が胸に包帯を巻いていたから…」

『胸に包帯を巻いているからといって必ずしもその方が女性であるとは限りませんよ。僕は傷隠しの為に巻いているだけですし』

貴方も見たでしょう？と言うと彼女はこくりと頷いた。

『いかなる場合でも、あの資料に載っている以外の事はお教え出来ません』

ある方との約束なんです。
そう言いたいのを飲み込んで。

気まずい空気になってしまった。
その場を取り繕うようにカルテを取り出して話し始めるが、何も耳に入ってこない。

もし女性の魅力があったならもっと何重にも巻いていたかもしれない。
僕のは平均的な男性のと然程変わらない。

自分にはそれがないから2，3回巻くだけで済む。
胸ではなく傷。

軍人ではなく娼婦にでもなっていたら事情は変わっていただろうか。

「試合に出ては駄目、激しい運動もよ。ストレッチぐらいは許可するわ。消灯前にまた様子を見にくるわね」

パタンとドアが閉じて静けさが訪れる。

それと入れ替わるようにさっきまで寝ていたカールさんがむくりと起き上がった。
虚ろな目を擦りながら。

『カールさん…？寝ていなきゃ…』

「メディックさん…手を此方に、伸ばして、くれませんか…？」

『あっ、はい……』

右手を彼の方に伸ばす。
彼は僕の方を向いて手を取り、眼前に掲げた。

「自分を犠牲になんて、止めて下さい。僕等がいるじゃないですか。もっと、求めて」

何をしているのかと問う前に彼の唇が手の平に触れた。

『何して…』

「貴方だけじゃないんです。頼って下さい」

マスクの無い彼が泣きそうな顔で言う。

言動を問い詰めようとしたが、彼はそそくさとベッドに潜ってしまった。

何故口づけされたんだろう。意味があるのだろうか。

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『ダイアーさん、一つ聞いても良いですか？』

「何かしら？」

『手の平への口づけってどんな意味合いがあるんですか？』

「あら…。ええとね…」

『はい…』

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手のひらへのキス＝相手への懇願

1日遅れのキスの日

傭衛にするつもりが作者のテンションの関係で納衛になりました。
許してください。