あの傭兵に妹がいたようで【第五人格】 (ページ21)

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イライside

ウッズさんと話しながらメディックさんが食堂に入ってくる。
この前の試合の事を謝らなければ。

食事を持って僕の目の前に来た彼に話しかける。

「おはようメディックさん、今日から復帰かい？」

『おはようございます。左様です』

相変わらず表情の読めない人だ。でもそんな彼と仲良くなりたいって思ってる自分がいる。
高望みしすぎだろうか？

黙々と食べているとカツーンと金属音が鳴り響く。

遠くの方でエリスさんがジェスチャーで謝っていた。
だけど僕の視線に気がつくと無言で何かを指差していた。

指差しの先にはマスクを外してサラダを食べるメディックさん。
あぁ、そういう事か。

視線に気付いた彼はしかめっ面をして言う。

『新人の食事はそんなに珍しい事でしたか…？』

「マスクの下の君の顔を初めて見たからじゃないかい？」

『はぁ…』

曖昧に返事を返される。
そのあと、彼はフィオナと話し込み、食堂から去ってしまった。

完全に話しかけるタイミングを失った。

「まるでここに来たばっかの君を見ているようだったよ」

「余計な…お世話です…」

「私まだ彼と話した事無いのよね～」

「寡黙って感じだよね！ノートンみたいな！」

「マイク、一言多い」

「アイツとは酒を交えて話し込みたいな！そう思うだろう！？」

「彼は女子会に誘うべきさ！ハンターも交えてね！」

皆が彼についてぎゃいぎゃいと話す。
朝から元気だなぁ。

「ごちそうさま……って、これって…」

黒くていかつい物が視界に入ったかと思えば、ひょいと見えなくなる。

「メディックのマスクじゃね？へー…こんな作りになってんのか…」

口の端に食べかすをつけたナワーブがマスクを弄んだり観察したりしている。

「ちょっとそれ…人のだから…」

「俺を破壊神かなんかだと思ってる？まだウィルの方が適任だぜ？なーウィル？」

「え、あー！そうだな！！」

「破壊神なら…料理の腕が絶望的な……貴方が適任かと……」

「えー……。あーもうナワーブそれ貸して！私が彼に届けに行ってくるから！」

「何キレてんだよ…」

彼からマスクをひったくって食堂から走り出た。

僕だってやればできるし…料理くらい…
1回厨房が火事になりかけた事はあるけどさ…

『メディックさーん？…いないのかな？』

彼の部屋をノックしても出ず。
天眼を使って探してみる。

相棒の目を通して見えた彼は今にもハスター様の深淵に取り込まれそうになっていた。