あの傭兵に妹がいたようで【第五人格】 (ページ3)

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「ここの人はみーんな優しいなの！あなたもきっと気にいると思うなの！」

僕の横で語尾に「なの」をつける少女が歩きながらそう言った。

『失礼ですが、貴女のお名前をお伺いしても？』

「はっ！ごめんなさいなの！(＞人＜;)
エマ・ウッズなの！気軽にエマって呼んで欲しいなの！」

『エマ…可愛らしい名ですね。僕の事はメディック…そうお呼びください。』

洋風の館の扉をノックしたら応対したのがこの少女だった。
麦わら帽に緑の園芸用エプロン…見た感じ、園芸知識が中々にありそうな子だった。

『先程、皆…と申されましたが貴女以外にもお住まいになって？』

「その答えはこの扉の向こうなの！」

エマさんはふふん……と誇らしげになって扉を開けた。

ギギギ…と音が鳴って扉が開く。さては立て付け悪いな？

中に足を踏み入れたその瞬間、パンッ！パパァンッ！とクラッカーの音が鳴り響いた。

「「「「ようこそ！！エウリュディケ荘園へ！！」」」」

『なっ……！？！？』

あまりの音の大きさに耳がショートし、整理が追いつかなくなった。
そんな僕をクラッカーを鳴らした人達がわっと取り囲んで中心へと連れて行く。
僕はされるがままだ。

「僕トレイシー、トレイシー・レズニック！！」

「俺はウィリアム・エリスだ！よろしくな！！」

「俺はナワーブ・サベダー…よろしく」ﾎﾞｿｯ

立て続けに自己紹介文が耳の中に撃ち込まれる。

ふと聞いたことのあるような名前が聞こえた気がして後ろを振り返った。
後ろには僕より少し背の高い緑のフードを被った男性が。
下を向かれているので暗くてよく顔が見えない。

『失礼ですが、もう一度お名前をお伺いしても？』

「チッ」

男性は舌打ちをして僕を睨みつけ部屋から退出してしまった。

ｲﾗｲ「ナワーブは前の時間のゲームで機嫌が悪くってね……
あ、自己紹介が遅れたね。私は占い師のイライ・クラーク。一応言うと彼はナワーブ・サベダー、傭兵だよ。」

『ナワーブ……サベダー……⁉』

「ん？知っているのかい？」

『あ、いえ、風の噂で似たような名前を聞いた事があるような気がしまして…』

あはは…と作った笑顔で目隠しした彼に微笑み、パーティー会場の端っこへと歩き縮こまった。

…………お兄ちゃんが生きていた？