十.単純思考回路編 ページ10
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『最近、墓荒らしが横行してるらしいぜ』
「うちのお墓が荒らされちゃって…お父さん静かに眠ってたのに…」
Aと銀時達は、また同タイミングで同じ依頼を受けていた。
むしむしと暑い日々に突然現れた事件の匂い。
早速、Aが万事屋を訪れると、家主はソファで溶けるように横になっていた。
「あ?墓荒らしぃ?知らねえよ」
「知らないじゃありませんよ。うちにも何件かきたじゃないですか」
新八は眉間に皺を寄せながら、銀時を見る。
冷たい視線を無視して、彼は扇風機に顔を近づけた。
「やっぱり万事屋さんのほうでも、もう依頼来てるんですね。
結構横行してるみたいですもんね。
ネットニュースでちらほら見かけましたよ」
「お前はどうせ涼しい部屋でカタカタやってるだけなんだろー?羨ましいねえ」
銀時は嫌味を言って、口を尖らす。
まるで子どものようだ。
そんな大きな子どもを神楽は引きずり、またソファーに座らせた。
銀時は仕方ないといったように、わざとらしく大きな溜息をついた。
「今回はお前に譲るわ」
「はい?」
「この前は俺の案で解決したみたいなもんじゃん?だから、次はお前に手柄やるよ」
どうにも腑に落ちない。
新八曰く何件も依頼がきているというのに、こんなにも気に留めていないのには違和感がある。
神楽達は渋い顔で彼を見つめている。
「もしかして…
肝試しとか苦手だったり「しねえよ。馬鹿。餓鬼じゃあるめえし」
食い気味で言葉を制される。
へらへらと笑っているが、その笑顔は引きつっている。
「お化け、怖いんだ」
「お化け?そんなもんいるわけ」
「私、視えるんですよね」
「…へっ?」
「銀さんのすぐ隣に」
「ひいっっ」
銀時は飛び上がり、神楽にしがみつく。
彼女はうざそうにぐいぐいと押しのけようとする。
一回りも体の大きさも年齢も違うのに、銀時はがたがたと震えている。
「冗談ですよ」
銀時に近づき、にやりと笑う。
彼は子犬のように怯えた瞳でこちらを見ていて、
「銀さんにも怖いものがあるようで安心しました」
やり返したと言わんばかりに、わざとらしく口角を上げた。
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Nattu(プロフ) - 慎さん» 慎さんん;;また来ていただいて嬉しいです;;同じ状況だ…萎えますよね;;慎さんの作品近々見に行きますね!^^いつも嬉しいお言葉ありがとうございます❤️🔥 (2022年7月15日 20時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
慎(プロフ) - ランキング入りおめでとう御座います👏私も最近溜めていたはずの話が知らない間に消えてて萎えました…😢お忙しいとは思いますが無理のない範囲での更新、頑張ってください。今作も大好きです😊🥀 (2022年7月15日 19時) (レス) @page7 id: 101fab3c19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2022年7月4日 22時