二十七 ページ27
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自分のことより他人のこと。
特別何かに秀でているわけでもないのに、この女はどこまでも優しすぎると銀時は感じた。
そんな女が今濡らした目でこちらを見ている。
ぐらりと揺れるような感覚。
「すみません。もう、大丈夫です」
Aは掴んだ手を無理矢理引き剝がし、にっこりと笑う。
(なんでそんな顔してられんだよ)
ぞわぞわと払いたくなるような違和感に、思わず首を少し振る。
何事もなかったかのように、目を擦り女はベッドから立ち上がろうとした。
しかし、未だ薬の効果は効いたままだ。
身体は思うように動かない。
「っとと」
ふらりと倒れこみそうになる小さい身体を支えれば、
「ありがとうございます。助けられてばっかですね、私」
呑気にへらりと笑った。
その表情に、また胸が跳ねる。
(糞野郎…俺って単純な奴)
何となく気づいていたそれを自覚して、きゅうと呼吸が苦しくなって。
不意に抱きしめたくなるほどに細い身体を、
「もう少し休んでろよ」
乱暴にベッドに放り、布団を頭から被せた。
Aはわっと声を上げ、銀時に文句を零している。
(この気持ちがばれるには、伝えるには、まだ早すぎる)
部屋に置かれた冷蔵庫から無造作に瓶を取り、無理矢理押し付ける。
Aはきょとんとした顔をした後、また嬉しそうに笑ってそれを顔に押し当てる。
「冷たーい…今、暑かったからナイス判断でした」
火照った頬に、瓶の雫が垂れていく。
彼女は歯を見せて親指を立てる。
少し調子を取り戻してきた、無邪気なAにほっと胸を撫で下ろす。
「そんな赤くしてっと、新八が勘違いすんだろ」
「何をです？」
「そういう類の薬じゃねえかってさ」
「まさか。てか、そんなに効果ないでしょう、あれ」
けらけらと笑う。
銀時の冗談に、女は怯むことなく会話を続けて見せた。
この女の話しぶりに、
(嗚呼、ある程度はそういう経験もあるって訳)
そのような要素も分かって、残念に思う自分と安心する自分がいて。
「今度はそういう奴飲まされんじゃねえよ」
べっと舌を出して、釘を刺す。
その言葉に女はにやりと笑う。
「大丈夫ですよ。
その時は、また銀さんが助けてくれるんでしょ？」
(こいつ…無意識にやってんなら、立ち悪すぎ)
こっちの気も知らずに楽しそうなAに、水をかけてやりたくなった。
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Nattu(プロフ) - 慎さん» 慎さんん;;また来ていただいて嬉しいです;;同じ状況だ…萎えますよね;;慎さんの作品近々見に行きますね！^^いつも嬉しいお言葉ありがとうございます❤️🔥 (2022年7月15日 20時) (
レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
慎(プロフ) - ランキング入りおめでとう御座います👏私も最近溜めていたはずの話が知らない間に消えてて萎えました…😢お忙しいとは思いますが無理のない範囲での更新、頑張ってください。今作も大好きです😊🥀 (2022年7月15日 19時) (レス) @page7 id: 101fab3c19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nattu | 作成日時：2022年7月4日 22時
