検索窓
今日:24 hit、昨日:1 hit、合計:25,737 hit

十三 ページ13

.




女は携帯の画面を警戒に叩く。
その顔はとても楽しそうで、丸い目は輝いていた。



「…あっ。すみません。夢中になってました。



気にしないでください。こっちで勝手に撮ってますので」



「気にしないほうが無理だっつの、馬鹿」



そう言うと、舌を出した。



(あー…ほんと、無理なんだけど)



夜だというのにまだ暑さは残っている。
地面から沸き上がる熱気は、さらにこの場を奇妙な雰囲気を漂わせる。

女はいつもの仮面をつけて、




「そんじゃあ、行きましょうか」




当たり前のようにそのまま墓場に向かっていく。
片手には、彼女の相棒の携帯電話がある。
怖いもの知らずの彼女の後ろをゆっくりとついていく。
Aはずんずんと前へと進んでいく。

周りを見る余裕もなく、小さな背中を追うのに精一杯だ。

不意に無機質な仮面がこちらを向く。
ぼんやりとした光の中にそれが現れて、思わず悲鳴を上げた。




「もう。何びびってんですか」



一回りも違うであろう女は呆れた声でいう。
ずかずかと近づいてきて、顔を覗き込む。
表情もない仮面が近づいて、また声をあげそうになった。




「ったく…手でもつないだらいいですか」




溜息をつきながら、白い手を差し出してきた。
弱みを知られてから、この女はどうも子供扱いしてくるばかりだ。
しかし、それに言い返せるほどに心に余裕はなくて。



「べ、別に怖くねえし。お前がどうしてもってんなら」



「はいはい。もう先に進みたいから行きますよ」



勢いよく手を捕まえられて、また前へと進む。
ついこないだ知り合ったばかりというのに、随分と態度が大きい女だ。




「ん…?」




「お、おい。どうしたんだよ急「しっ。静かに」




口を掌で塞がれて、墓石の後ろに身を隠す。

隙間から見えたのは、黒い影が数個。
供え物を漁るような音がするだけで、何かは分からない。

不意にきゅっと繋がれた手の力が強くなる。
Aを見ると、



『木刀の準備、お願いできますか』



と口をぱくぱくさせて。

空いた手で腰元の相棒に触れる。
二人顔を見合わせて頷く。

足音を立てないように摺り足で近づき、





「「墓荒らし、捕まえた!!!」」





それぞれの相棒をその影に向けた。


.

十四→←十弐



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
87人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 万事屋   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Nattu(プロフ) - 慎さん» 慎さんん;;また来ていただいて嬉しいです;;同じ状況だ…萎えますよね;;慎さんの作品近々見に行きますね!^^いつも嬉しいお言葉ありがとうございます❤️‍🔥 (2022年7月15日 20時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ランキング入りおめでとう御座います👏私も最近溜めていたはずの話が知らない間に消えてて萎えました…😢お忙しいとは思いますが無理のない範囲での更新、頑張ってください。今作も大好きです😊🥀 (2022年7月15日 19時) (レス) @page7 id: 101fab3c19 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Nattu | 作成日時:2022年7月4日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。