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ピンポーン
チャイムが鳴り、勢いよくタマが入ってきた
「た、タマ?」
「ばか!ガヤのばか!」
そう言ってきつく抱き締められた
「どうしたの、?タマ?」
「1人で泣かないで」
「は...?泣いてなんか ...」
ふっと体が離れ目が合えば
頬を両手で包まれた
「泣くなら俺んとこで泣いてよ」
「だから、泣いてなんかっ、」
「北山くんでしょ?」
その名前を聞けば
再び目頭が熱くなる
─
「どう?落ち着いた?」
「ん...ごめん、ありがとう」
あれから泣きじゃくって
タマの服を濡らしてしまった
流れる沈黙
タマになら、言ってもいいかな
「実はさ、
俺、北山と付き合ってたんだ」
「...うん、なんとなくそんな気がした」
「高校1年の夏にさ体育祭で俺怪我しちゃって
しかも擦り傷とかじゃなくて捻挫してさ
階段とか上手く登れなくてね、」
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14年前の夏
その日は体育祭だった
「藤ヶ谷くんいけー!」
「ゴールゴール!」
部活と同じ種目に出場ができないため
やむを得なくサッカーに参加した俺は
かっこいい所を魅せたい!
その一心で、
ゴールまでボールを運びシュート!
となるはずだった
しかし慣れないドリブルで脚が縺れ
やばい、と思った時には遅く
思い切り転んでしまった
「わりぃ、さんきゅ...」
保健室まで友達の肩を借り行ったものの
先生はおらず、手当ての仕方も分からなくて
椅子に座って待っていた
あー、遅いなーと室内を見回していると
ガラ、とドアが開いた
「...なにしてんの?」
そこには、小柄な男の子が立っていた
これが俺と北山の出逢い
─
「ほら、これで大丈夫だろ」
こんなとこでいつまでも先生を待っていたら
日が暮れる、と言われ
でも動けないから湿布を探せない、と言ったら
仕方ねえな、と言いながら患部に湿布を貼ってくれた
「ありがとう。...北山くんは何しにきたの?」
「あー、暇だったから」
「出ないの?」
「んーバスケなんだけど、俺バスケ苦手でさ。逃げてきた」
それからお互いの部活の話とか、
何組だとか、自己紹介をした
「呼び捨てでいいよ、藤ヶ谷」
「そう...?じゃあ...北山」
「ふ、おう。歩けるか?」
「ゆっくりなら」
「ほら、肩貸す」
「ふは、ちっちゃいね」
「誰がチビだ」
お互い初めましてなはずなのに、
どことなく心地がよかった
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作者名:ぴょんすけ | 作成日時:2023年7月29日 1時