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─
「ガヤー！こっちこっちー！」
週末。
タマと約束していたブランドの限定品を買いに来た
「うん、やっぱタマはお洒落だな」
「ガヤもお洒落だよ。かっこいい」
細身のパンツにTシャツ、少し大きめのカーディガンにハット
全身黒なのに似合うのはきっとタマだからだ
「うわ〜全部欲しい...」
「買っちゃいなよ」
「そんな金ねえよ」
「えーガヤ金持ちでしょ？」
「ふつーでーす。」
「あ、これガヤっぽい！似合いそう」
タマとは気が合う。
好きなブランドが同じだったり、
趣味が似てたり
人見知りだったり
年下だけど一緒にいて楽なのは似たもの同士だからだろうか。
...北山とは色々真逆だったな、
こんな時にも北山が出てくるなんて、
俺、女々しいな
─
「は〜良い買い物した〜」
「昼どうする？」
「ガヤ食べたいのとかある？」
「久しぶりにパンケーキ食べたい」
「ほんと好きだね〜？甘いの」
「女子扱いすんなよー」
「はいはい。オススメはどこ？」
「あ、そこの路地入ったとこにいい所あんだよ」
路地に入って目的地まで歩を進める
「すごいとこ知ってんね〜」
「そうか？」
あと少しで着く、というところで
どこか聞き慣れた声が聞こえてきた
「やめろって、」
「ええやん、ここなら誰も来おへんって」
「っ...」
数メートル先で
北山が恋人とキスをしていた
「あれ？あれ北山くん...？って、ガヤ？」
見たくなくて、
信じたくなくて
全力で走った
「っは...はぁ、」
最悪だ
好きな人が恋人とキスをしているとこを見るなんて
「ははっ...女々し...」
荒れる息を整えながら電車に乗った
タマにはごめんって連絡入れとこう
─
「あー...頭いてえ」
あれから家に着いて安心したのか、
堪えていた涙が溢れ出して止まらず
そのまま死んだように朝まで寝ていた
切っていたスマホの電源を入れれば
タマから何件か着信が入っていた
「もしもーし」
『あ！もしもし？ガヤ大丈夫？』
「あー...わりいな」
『全然返信ないから心配したよ』
「ん...ごめんっ」
あーなんだろう、
歳なのかな
優しさに触れただけなのに
枯れたはずの涙がまた溢れてくる
『ガヤ？』
「あー、うん、ごめん な」
『...ガヤ今家？』
「うん」
『今から行くから待ってて』
.
.
─
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作者名：ぴょんすけ | 作成日時：2023年7月29日 1時
