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「渉はどう思う?有り得ないと思わない?」
「んーみっちゃんらしいっちゃ、らしいよね」
あはは、なんて苦笑いをする渉
あれ以来特に連絡もない。
今日はありがとうとか、ありきたりな文を送ったけど
そこから特に進展はなかった。
モヤモヤが消えなくて、渉の店で1人で飲みながら愚痴っていた
「もうさ、ふらっと現れて、連絡急になくなるとかなんなの...、誘ってきたのあっちだよ」
「はいはい、気になるなら連絡しなさい」
「つめた...」
「もういい歳した大人でしょ」
「う...ごもっともです...」
スマホを開き途切れたトーク画面を見つめる
あー...なんて送ればいいんだよ
久しぶり、なにしてる?
今週末空いてる?
なんか女々しくね?
途中まで打っていた文面を消しては打って消しては打って...
「あーもうわかんねえ...」
「素直に会いたいって言えば?」
「素直になれるならこんなに苦労してない」
「じゃあもう諦めな。向こう恋人いるんでしょ?」
そう、そこなんだよ
北山には恋人がいる
目撃したわけでも本人から聞いたわけでもないけど
あの電話の相手は確実に恋人だ
だから、
もうよりを戻せるとも思ってない
でも、どこか期待していた自分がいたのも本当で
この気持ちに早く整理をつけたい
勇気をだして北山にメールした
ふじがや今週末空いてる?話したいことがある
──
「ガヤ、今週末出かけない?このブランド、週末限定の物出るんだ」
「あー...今週末は、」
予定がある、そう言いたいが
未だに既読のつかないトーク画面
「んーそっか、ガヤと行きたかったけど1人で行くわ〜」
察したタマがコーヒーを淹れながら答えた
「ごめんな、また今度...」
ピコン
北山久しぶり。ごめんな、最近仕事忙しくて当分会えそうにない
仕事、か
そうだよな、忙しいよな
仕事なら、仕方ない
もう北山のことは忘れよう
もう、会わないようにしよう
「タマ、今週末出掛けよ」
「え、予定あるんじゃないの?」
「なくなった」
そう言えば、
やったーと子どもみたいにはしゃぐタマ
うん、タマといるほうが楽だ
「気合い入れてお洒落するからガヤもお洒落してきてね!」
「ええ?」
お洒落してきてね!なんて訳の分からないことを言われたけど
なんでか許せるのは、
きっとタマだから。
さて、仕事頑張ろ
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作者名:ぴょんすけ | 作成日時:2023年7月29日 1時