3 ページ4
.
.
「追加完了ー。藤ヶ谷は？」
「ん、したよ」
結局連絡先を交換してしまった
別に今更連絡なんて取り合わないのに。
──
「気を付けて帰れよ」
「ん、呼んでくれてさんきゅ」
北山が呼んでくれたタクシーに乗り
俺は帰路についた。
.
北山はもう、俺と恋人同士だったことは忘れてしまったのだろうか
12年ぶりの再会をしても動揺はなく
普通 だった。
.. そもそも俺らは本当に付き合ってたのかな
「せっかく忘れようとしてたのに...」
30歳になって、徐々に北山との思い出の物を捨てるようになった
今までは自分にケジメをつけられなくて
もらった物とか写真とか捨てられずにいた
でももう三十路だ。
いい加減過去の恋愛は忘れて
次に進まなければ、そう思えば思うほど
億劫になっていた。
風呂にでも入ってさっさと寝よう、
そう思いシャツのボタンを外していると
ﾋﾟﾛﾘﾝ
北山今日はありがとな。久しぶりに藤ヶ谷と会えて嬉しかった。来週の土曜日もし空いてたら飯でも行かね?
「...は、？」
なんか飯に誘われたんだけど..
北山が？俺を飯に？
「どういう風の吹き回しだっつーの...」
結局、返信せずに寝てしまった
──
「おはよーガヤ」
「おはよう」
「昨日は楽しかったねー」
「先に帰っただろ」
「え、だって寝てんだもん」
「ったくもー」
「それより、北山くんとあの後飲んだの？」
「起きてすぐ帰ったよ、飲むわけないだろ」
「えーすっごい仲良さそうだったけど？」
「は？なにを...」
「だって、すごいガヤのこと楽しそうに話してたし」
あいつがわからない
急に振って関係が切れたのに
ふらっと12年越しに現れて、俺の話をするなんて
意味がわからない。
「なに難しい顔してんのー？」
「...」
' 俺もうお前のこと好きじゃねえんだわ '
蓋をしたはずの想いが溢れだしてくる
もう二度と会わないと思っていたのに。
.
ふじがや来週の土曜日空いてるよ。
気持ちに蹴りをつけたくて
昨日のメールにはそう返信した
──
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴょんすけ | 作成日時：2023年7月29日 1時
