好き ページ20
.
.
.
夜になり、北山と待ち合わせの時間が近づいてきた
「..なんて言えばいいんだー」
タマには、
「大丈夫！素直に気持ち伝えれば！」
なんて言われたけど、
「無理だよ...」
「なーにが無理なんだよ？」
「っわ、びっくりしたぁ」
「おまたせ、藤ヶ谷」
「俺もさっき来たばっか」
「よし、飯いくか！」
.
.
「最近仕事どう？」
「課長って大変だなあって実感してるとこ」
「やっぱり忙しいかあ」
「北山だって毎日忙しそう」
「まあ繁忙期は大変、くらいだな」
...
流れる沈黙
言わなきゃ、伝えなきゃ
「藤ヶ谷？どした？」
「はいっ！？」
「ふは、あはははは」
「わ、笑うなよ...」
「だって、百面相してんなーって思って声掛けたら声裏返るし、あーおもしろい笑」
「う、うるさいなぁ...」
「ふ、膨れてるとこもかわいい」
「か、かわいくねえし」
「なあ、藤ヶ谷」
「ん？」
「そろそろ、返事ほしいんだけど」
「っ..あ、えと、」
「..俺、おれ、北山のこと、」
「ずっと前から、好き」
「だから、その、こんな俺でよければ、」
「よろしくお願いしますｯ」
言えた、やっと、やっと言えた
ゆっくりと顔を上げると
「...〜ｯ」
北山は顔を赤らめ、涙目になっていた
「うれしｯ..ありがとう、藤ヶ谷」
「きたやま...」
「大事にするから、一生守るから」
「大好きだよ、藤ヶ谷」
「俺も、俺も大好き」
やっとお互いの気持ちを確かめあえた
すごく時間はかかったけど、
ようやく
俺の恋が再び実った
「藤ヶ谷、抱きしめてもいい？」
「え、いま？ここで？」
あたふたしていると、
ソファー側の俺に近づいてきて
「やっと、やっと触れられる」
「っ...」
そっと優しく抱きしめられた
「ずっと、こうしたかった」
「きたやま...」
「もう離さないから」
「..俺も離れてやんないから」
そっと北山の背中に腕を回す
「藤ヶ谷、」
甘い声で名前を呼ばれ、
少し体を離し北山に視線を送ると
ぱちりと視線があった
「きたやま...？」
「藤ヶ谷、すき」
ゆっくりと北山の顔が近づく
反射的に目をつぶると、
柔らかい唇が触れた
あ、あの時とはまた違う
でも同じ感触
「きたやま、」
「好き」
.
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴょんすけ | 作成日時：2023年7月29日 1時
