記念日 ページ17
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あれから、北山からほぼ毎日のように連絡がくる
他愛もない、おはよう とか おやすみ
それから、北山が最近ハマっているもの、ご飯屋さん
長い空白を埋めるように、毎日のように連絡がきていた
「北山ってこんな連絡する人だったんだ...」
学生のときとは少し違う北山に戸惑うも
北山なりに頑張っているように思えて、
なんだか少し微笑ましい
きたやま今日って会える?
今日か
今日は、
「ガヤ!今日何時にあがる?」
タマとの
記念日デートだ
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「今日は定時であがるよ」
「じゃあ俺もそうする!」
たのしみ〜なんて嬉しそうにはしゃぐタマ
「..俺さいてーだな」
恋人がいるのに、好きな人と連絡とってるだなんて
心が苦しい
やっちゃいけないことをしている気分だ
タマに正直に話そうか
でも、それだと傷つけてしまう
「..はぁ、どうしたらいいんだ」
ふじがや今日は会えない、ごめん
そう返信し、通知もオフにした
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「お疲れ様、かんぱい!」
「かんぱい」
カン、とグラス同士を合わせる音が室内に響いた
「今日は好きな物沢山たべろよ〜」
「やったね!おにく!おにく!」
記念日デート、といっても焼肉を食べにきただけだ
でも、嬉しそうなタマを見ると
自然と頬が弛む
「ガヤ、こんないい店知ってたんだね」
「ああ、まあな」
次々とお肉が運ばれてくる
「よーし、いっぱい食べるぞ」
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「ふぅ、お腹いっぱい〜」
「たくさん食べたな」
いい感じにお腹も膨れ、ゆったりとお酒を嗜む
「..あのさ、」
「ん?どした?」
「ありがとね、ガヤ」
「急にどうしたんだよ..笑」
「俺、毎日すっごく楽しくてさ、」
「なんか夢なんじゃないかなって、思ってる」
「...?夢なんかじゃ、」
「別れよう、ガヤ」
「...え?」
「毎日すっごく楽しかった!ありがとう」
そう真っ直ぐ見つめられる
「ちょ、ちょっと待ってよ、」
「このお店出たら、俺たちは仕事仲間に戻ろう」
「急に、そんな、」
「大丈夫、ガヤは前に進めてる」
「意味わかんないよ、タマ」
「...俺は大丈夫だからさ、ガヤが幸せならそれでいいから」
「やだよ、タマ、変なこと言うなよ」
「これはもう決定事項なの!」
「今日で恋人関係は終わり、同僚に戻るの」
いやだ、別れたくない
そう言いたいのに、喉に引っかかって言葉がでてこない
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作者名:ぴょんすけ | 作成日時:2023年7月29日 1時