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「遅くなってごめん」
「お疲れ様〜」
北山の顔も声も
早く忘れたくて、
走ってタマのいる場所へ向かった
「疲れたでしょー?ビールでいい?」
「うん、」
乾杯、と
グラスを鳴らして
キンキンに冷えたビールを流し込む
「飲みっぷりいいね、ガヤ」
「..疲れたからな!」
タマの前では、北山の話はしたくない
その一心で、ビールを体に流し込む
「ガヤ、そんな酒強くないんだから無理しないで」
「うー...」
久しぶりのアルコールで
すぐ酔いが回りふわふわしてきた
「今日はとことん飲むー...」
「甘いの頼むからね」
そう言ってカシオレがテーブルに届く
「さすがータマー」
"女子みたいだな"
北山の声が脳内でリフレインする
「..うるせ」
「ん?なんか言った?」
「っ..なんもない!」
その後もつまみを食べながら
カシオレを飲み続けた
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「タマぁ〜」
「なんですかー?酔っ払いさん」
久しぶりに飲んだおかげで
デロデロに酔ってしまった
「酔っ払いさん、そろそろ帰りますよー?」
「やーだー」
「だめでーす、帰りまーす」
「けちー」
そのままタマに介抱され
外に出た
「ちゃんと歩ける?」
「あるけますぅ〜」
ふわふわする視界の中で、
遠くに見覚えのある姿が見えた
「..ぁ、」
足を止め、じっと焦点を合わせると
北山が立っていた
「きた、やま..」
「ほんとだ、なにしてんだろ」
「...あっちから帰ろ」
「そだね..」
くるりと背を向け、別ルートから帰ろうと
足を進めると
「藤ヶ谷!」
「っ、」
なぜか気付いた北山に呼び止められた
走って逃げれるほど体力もないし
酔っているから気持ち悪くなってしまう
逃げたいのに逃げられないジレンマに
立ち尽くしてしまった
「お久しぶりです、北山くん」
「タマちゃん、久しぶり」
「ここでなにしてるんすか?」
「いや...まあ..」
「それより!2人で飲み?これから一緒にどう?」
「ガヤもう潰れてるから、今日はごめんなさい」
「珍しいな、藤ヶ谷が潰れるなんて」
「...るさい」
「ガヤ..?」
「..ぁ、いや..なんも」
「あ!おった!宏光!..ってあれ?」
帰りたい、そう思っていると
北山の恋人である大倉くんがきた
なんだよ、1人じゃないのかよ
酔った頭でグルグル考えていると
「..ッチ..はぁ..」
小声で呟いた北山
なに?ため息?どういうこと?
恋人のお出まし、嬉しくないのかよ
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作者名:ぴょんすけ | 作成日時:2023年7月29日 1時