前進 ページ11
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「俺と一緒に前に進もう」
その言葉にはっとした
北山だって、もう前に進んでる
俺だけがまだ過去にすがりついてる
タマとなら
前に進めるかな
「...こんな俺でよければ、よろしくお願いします」
その日から、俺とタマは同僚から恋人になった
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『え!タマちゃんと付き合うことにした!?』
「うん、告白されてさ」
家に帰って渉に報告した
『タマちゃん、太輔のこと好きだったんだ』
「...みたい。冗談だと思ってたのに」
『でもいいんじゃない?前に進めるきっかけになるじゃん』
「ん...もう、北山のことは忘れよう思う」
『...まあ、とにかくおめでと!
今度店きたらお祝いしたげるよ』
「ありがと、わた」
おやすみ、そう言って電話を切った
ピロリン
タマ家にちゃんと帰れた?
ゆっくり寝るんだよ〜おやすみ〜
タマからおやすみメールがくるなんて
「...意外」
ふっと笑みが自然と溢れた
ガヤちゃんと帰れたよ
タマもゆっくり休んでね
おやすみ
こんなメールをするなんて、
いつぶりだろうか
少しだけ
キュンとして眠りについた
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「おはようございます〜」
「あ、ガヤおはよ!」
「お、おお、おはよう」
出勤すると、早々にタマが近づいてきて挨拶してきた
べつにいつもと変わらないはずなのに
付き合っている、
そう思うと変に緊張してしまった
「ふふ、ふふ」
「なんだよっ」
「ガヤ、緊張してる?」
「は?緊張なんかしてねぇ」
デスクに座ると、椅子ごと俺の隣にきたタマ
「なーんかいつものチーフじゃないですよ〜?」
「おまえ!からかってんのか!」
「朝礼始めるぞー」
その日1日、タマにいじられながら仕事をした
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「ふぅ、やっと終わったー」
時刻は21時
ほんの少し浮ついた気持ちと、
繁忙期が重なり
残業してしまった
「んーっ..つかれたー」
伸びをして天井を見つめる
タマ、もう帰ったかな
ふと頭に浮かび電話をかけた
『はーい』
「今日直帰?」
『今から事務所戻る!どしたの?』
「いや、声聞きたくなった」
『え、なにそれ』
「なんか、ごめん、女々し..」
『かわいい』
「..はい?」
『かわいいって言ったの!』
「かわいいって、俺男なんですけどー?」
『あー早く会いたいから、ぶっ飛ばす!待ってて!』
ブツっと切れた電話
かわいいって、なんだそれ
でも、
なんか嬉しいかも
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作者名:ぴょんすけ | 作成日時:2023年7月29日 1時