再会 ページ2
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「今月のトップも藤 ヶ谷だ、おめでとう」
「ありがとうございます!」
専門学校を2年通い、俺は大手不動産会社に就職した。
初めこそわからないことだらけで
最初の3年はかなり苦労したが、
初めて大きな物件が売れてからは、こんなに売れていいのかというくらいに売り、何度も当月トップを取った。
今では毎月のようにトップを取り、チーフなんて役までついてしまった。
「やっぱり藤.ヶ谷さんすごいな」
「憧れるよな〜」
「イケメンで長身、誠実で仕事もできるなんて超いい男だしタイプ〜」
「彼女になる人羨ましい〜」
なーんて、ちらほらそんな声を聞くことも増えた
そんな俺も今年で30歳になる
彼女なんていない。勿論独り身
あいつのことが忘れられないから、なんて言い訳をして新しい恋に踏み出せずにいる。
「はぁ...」
「なに溜息ついてるんですかチーフ〜」
無意識に吐き出された溜息と共に椅子に腰をかけると、後ろから5年後輩の玉森が声をかけてきた
「はい、コーヒー」
「お、さんきゅ」
「大変ですね〜人気者のチーフさんっ」
「馬鹿にしてんだろ」
ええ〜?なんて満更でもないような態度を取る玉森
それでも憎めないのがこいつのいい所。
「お祝いも兼ねて飲み行きましょーよ」
「お、いいね。てかこないだも飲んだばっかだよな」
「今日は今日。こないだはこないだ!」
「仕方ないな〜」
「やった〜。ガヤの奢り〜」
ったく。調子の良い奴め。
でも玉森のこういう所に何度も救われた。
どんなに仕事で嫌なことがあっても、無理に聞かずに飲みに付き合ってくれるし
なにより、一緒にいて楽なんだよな
「よし、今日も頑張りますか」
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「お疲れ様」
「おつかれ〜」
かちゃ っとグラスが合わさる音と共に
今日一日の疲れが流れてゆく
「ん〜美味しい。わた、バーニャカウダちょーだい」
「はいよ〜」
「わったー、俺はアヒージョ!」
わた、わったー こと 横.尾渉は高校の同級生で親友。
此処は わたが経営してるお店で
お昼はカフェ、夜はバーになる
タマと飲み、となると必ずここに来る
「ガヤはモテモテなのになーんで恋人いないの?」
「別にいらないだろ」
「えー俺けっこうタイプなんだけどなー」
「ふは、冗談よせよ」
「ガヤのこと狙ってもいいですかー?」
「酔ってんのかよ?笑」
「ふふ〜酔ってるのかも〜」
恋人、ね ..
もう久しく恋愛してないな ..
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作者名:ぴょんすけ | 作成日時:2023年7月29日 1時