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プロローグ ページ1

F.




「俺、もうお前のこと好きじゃねえんだわ」


「別れて欲しい」




--


3月1日


今日は3年間苦楽を共にした仲間との別れの日。
そして新しい門出を迎えるための日


就職する者、進学する者

これからの未来への第一歩を踏み出すための

区切りの日。



式が終わり、周りの奴らは写真を撮ったり
名残惜しそうに駄弁ったりしている


そんな中、俺は2年半交際している恋人と

帰宅していた


出会った時の話とか、告白したとき、お互いの気持ちを確かめあったときの話


色んな想い出を話しながら

いつもと変わらぬ帰路で肩を並べて歩いていた



春から 俺は、専門学生。
北山は大学生


俺は二年制で北山は四年制。


まあでもなんとかなるだろ、


高校生活もなんやかんやあったけど、


こうして続いているのだから、大丈夫だろう



そう思っていた矢先だった




「なあ、藤 ヶ谷」


「んー?」



急に足を止めた北 山に違和感を感じ


自分も足を止め振り返る



「なに、寂しいの?笑」



「...」


「なんだよ、なんか言いたいんじゃねえの?」


「俺、もう...」

「え?なに聞こえない?」


「...俺、もうお前のこと好きじゃねえんだわ」


「...は、?」

「別れようぜ」

「おい、待てよ、は、?」

「...じゃ、これから頑張れよ、藤 ヶ谷」




頑張れよ、そう言い残して

俺の隣をすり抜けていった 北 山



あまりにも突然すぎる別れに


俺は立ち尽くすことしか出来なかった



帰ってからの事はあまり覚えてない


両親に卒業祝いをしてもらったのだろうけど

それよりも

最後に言われた北山の言葉が頭にこびり付いて取れなかった



卒業旅行の前日に渉に会ったら

ひどく驚いていた



「...え、太輔、痩せすぎじゃない?」

「そう...?普通だけど」

「いやいや、明らか痩せたよね?顔色悪いし」


なんかあったの?なんて優しく聞かれたから

溜め込んでいたものを全て吐き出した


卒業式の帰りに振られたこと
もう好きじゃないと言われたこと
ご飯をまともに食べていないこと
夜眠れないこと

まだ北 山のことが好きなこと


「...そっか」

嗚咽を漏らし涙で顔がぐしゃぐしゃになっている俺の背中を優しく撫でながら話を聞いてくれた

「...太輔、」

「んっ...?」

「卒業旅行違うとこ行こっか」

.



あの時、追いかけていたら何か変わってたのかな


北 山 は、

俺と過ごした2年半、

楽しかったですか?


.



.


.

再会→



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作者名:ぴょんすけ | 作成日時:2023年7月29日 1時

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