何にも見えなくなっちゃった (ページ2)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:331 hit

音葉とファミレスページ2

「雫～、疲れた……。こんなに遠くなかったよね？」

「まあ……暑かったからじゃないの？とりあえず座ろっか」

ファミレスの前まで来てドアを開けるとカランカラン、というベルの音が聞こえた。それと同時に

「いらっしゃいませー。何名様ですか？」という私たちより五歳ぐらい年上の女の人の声が聞こえた。

「あ、二人でーす」

私が女の人に言う。禁煙席に案内してもらい、私たちは席に着く。

「涼しーね。しかもここエアコンの真下じゃん。ラッキー♪」

音葉がそう話しながら手でパタパタしているのを見ながら、私は、近くにあったおしぼりで手をふく。

「音葉はいつもハンバーグプレート頼んでたよね。今日もそれにするの？」

「うーん、金欠だからなあ……。今日は我慢してフライドポテトとドリンクバーにしよっかな～」

「めずらしーね。じゃあ、私はお小遣いもらったばっかだからハンバーグプレートにしよっかな」

「え？マジ？じゃじゃ、じゃあさ、一口だけ、一口だけちょうだい！」

音葉が顔の前でパンッ、と手を合わせた。

「え～？しょうがないなあ、一口だけ」

「やった～。ありがとう♪」

音葉が笑顔になったのを見て、私は店員さんを呼んだ。

「あ～、おいしかった♪ まだちょっと物足りないけど、ハンバーグもおいしかった♪ ありがとね、雫♪」

「はいはい」

音葉はおしぼりで手をふいている。

「そろそろ出よっか。あと十分しかない」

私が腕時計を見ながら音葉に話すと、音葉はショルダーバッグを肩から下げた。