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そんな中何処も支配せず、知識は得られるものの経験の得られない彼は、精神年齢で言えばまだまだ小学校低学年ほどだろうか。時々見せる魔王の表情は、所謂本能と言うものだ。
普段はあまり精神年齢の低さをあまり感じないのは、Aの教育の賜物と言える。もちろんAからすれば様々なことを経験してもらいたいのだが。

「離してくれそうにないですね」

そう、とても小さく呟いたあと、自身の服を掴むらっだぁの手を少しばかり優しく撫でる。その時の瞳は、とても大切な人を見守るような、柔く優しくも儚い瞳をしていた。
そのままの状態で時は流れていき、らっだぁが目が覚める頃には空はどっぷりと紺色に浸かっていた。

「ん、ぁ……A……?」
「私は此処に居ますよ、魔王様」

ぱち、と目を覚ましたは良いものの直ぐに瞼を下ろしてしまい、らっだぁは手探りでAのことを探し始めた。Aはその手を取って上半身を起こさせた。
らっだぁは手を離した後、好きなだけ寝ていたからなのか、眠気は無さそうに欠伸をした。そして起きたばかりで少しぼやける視界で必死にAを探す。そしてその視界の中にAを捉えると、らっだぁはへらりと笑った。

「……A、おはよぉ」

そんな気の抜けた挨拶に、Aも思わず柔らかな笑顔で返した。

「おはようございます、魔王様」

すると、普段表情を崩さないAがとても優しい顔で笑ったからなのか、らっだぁはさらに蕩けたような笑顔になる。いつもは魔王様、と呼ぶと呼び捨てしろとうるさいのに、それすら言わなかった。
いつの間にかいつもの表情に戻っていたAに、らっだぁは上機嫌で抱きつく。

「ほら朝ごはん食べよ! 食堂まで連れてって〜!」

このまま連れてけ、と言うらっだぁを、Aは運びやすい体制に抱え直す。すると、らっだぁはきゃっきゃと小さな子供のように、無邪気にはしゃいだ。くふくふと嬉しそうに楽しそうに笑うらっだぁを横目に、Aは口を開いた。

「もう夜なんで、晩御飯ですけどね」
「えっ」

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アイリス - 初コメ失礼します〜。お話がとても面白いです!体調に気を付けつつ頑張って下さい!(上から目線だったらすいません) (2020年4月10日 23時) (レス) id: efae12fbca (このIDを非表示/違反報告)
らんら - コメ失礼します!好きです。(唐突)作者さんと自分の好み同じすぎます!更新頑張って下さい! (2020年4月8日 7時) (レス) id: 411096a00b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Densu | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年3月31日 12時

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