三十二部屋 ページ32
あの日から……ピアノは止まったままだ…
弾く者がいなくなったのだから当然だ。
「ん…………」
気づけばもう俺は三十路目の前の大人だった。
義足の暮らしには随分と慣れ、周りからも違和感なく両足があるように思われている。
おいそれと弱みを見せるなというのが、あの日から父に言われ続けた言葉だ。
この足のことは誰にも言うなと言っていた。
「はぁ………」
広い浴槽から杖を付きながら這い上がるように出れば脱衣所までまたチビチビと歩かなければならない。
億劫さを我慢して歩き、なんとか脱衣所に繋がる扉を開ける。
用意していたバスタオルで体の水分を拭き取り、下着を身につける。
その時だった………
バシャーン!!
「………!?」
激しく何かを水に打ち付けたような音がした。
俺は急いで浴槽へ繋がる扉を開けた。
?「ゲホッ、ゲホッ………!え、ちょ。何ココ……」
?「あがっ……!!ゴフッ………!!」
広い湯船の一番深い所に二人ほど人間が見える。
というか、一人溺れている!
「大丈夫か!?」
杖で湯船まで転けないように走る。
水に入れば浮力で幾らか自由もきく。
俺の腰辺りまでしかない水かさで溺れるなんて、とんでもないカナヅチだ。
?「ゲホッ!ゲホッ!ゴホッ………!」
「ゆっくり息を吸え…!」
湯船の浅い所まで引っ張り、背中を叩く。
?「はぁー……はぁー……」
?「ちょっと落ち着いたんじゃない?」
「あぁ……」
落ちてきたもう一人も腰を下ろした。
見ると、水分を含んだ白い羽織?を絞っていた。
?「ねぇ、君。
ちょっと聞きたいんだけどさぁ?」
「何かな。」
?「ここってどこなの?
僕らさっきまで普通の道端で殺し合ってただけなんだけどさ。」
さらりと物騒な言葉を使っているが俺はスルーして答えた。
「俺の家の浴槽だ。」
?「何で僕こんなとこに落ちてきたの?」
「知らないよ。
でも、この一日で君ら合わせて12人も落ちてきた。
俺が聞きたいくらいだ。」
?「へー、そうなんだ…」
それより……
この男性を引き上げるのを手伝ってくれよ
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レイ - とても面白かったです！更新待ってます！ (2021年1月9日 0時) (
レス) id: 7c5d211aab (このIDを非表示/違反報告)
黒猫のコトリ(プロフ) - 更新待ってます (2017年4月16日 16時) (レス) id: e339c6d734 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - めっちゃおもろいです！更新ずっと待ってます！！！！ (2017年3月19日 20時) (レス) id: 8ee6488718 (このIDを非表示/違反報告)
NANA - 面白かったです！何だか自分の小説ヤバくなってきたかも！ (2016年10月5日 17時) (レス) id: 01728ef3b7 (このIDを非表示/違反報告)
#悠(プロフ) - 修羅場るwwwそんな使い方がww この作品大好きです！これからも楽しみにしていますね！(・∀･)ﾉｼ (2016年9月18日 17時) (レス) id: aed4713ca9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしぇべなら | 作成日時：2016年8月16日 3時
