ルフに魅入られた者 (ページ5)

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3話(主side) ページ5

二度目の目覚め。地面に寝転がっているというなんとも嫌な目覚めだった。

もう少し綺麗なところで目覚めたかった。

起き上がり周りを見渡す。

どうやらここは地面がくりぬかれている、そんな場所みたいだ。

まるで、何かの建物がなくなったみたいに。

｢とりあえず、どうやって上まであがろう…｣

上までは結構な高さの崖になっていた。自分の力で登るには無理がある高さだ。

そう考えていると、頭の中からさっきのジンの声がした。

……私の力を使うか、ルフに命じれば上まで登れるが

｢それはどうすればいいんですか？｣

……私は今、君の右耳の耳飾りに宿っている。
その耳飾りにふれて、呪文を唱えるんだ。
呪文は耳飾りにふれれば頭の中に浮かんでくるだろう。

もう一つ、ルフに命じる、というのは簡単だ。ただ、ルフに崖を登りたいと願えばいい。
声に出さずとも願えば、ルフは応えてくれる。

｢…なるほど、じゃあ｣

言われたとおりに、ルフに願ってみた。

"崖を登りたい…！"

すると、体が白い蝶のようなものが体をおおっていき、浮き上がって…

すごい速度で地上につく。

｢っう…気持ち悪…｣

……最初はまだ(ルフたちが)力の加減ができないようだ。
まぁ、そのうちなれるだろう。

｢こんなことになるんだったら、ルヴァ…さんの力を借りた方が良かったです｣

｢何ひとりで喋ってんだ？｣

｢！？｣

突然背後から声がして、反射的にそこから跳びのく。

そこには見たことのない服をまとった黒髪の青年が立っていた。