お騒がせカップルの模範【沖田総悟】

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ーーーそれから、江戸の町を練り歩く総悟の後ろを足早に追いかけた。人の歩幅と猫の歩幅は、言うまでもなく大きさが違う。追いかけるのにも一苦労だ。

言葉通り、民家の犬小屋の中を覗いては私の名前を呼び、居ないと分かると分かりやすく落胆して再び歩みを進める総悟。


･･･何だろう。私の事を捜してくれているのは確かで、嬉しいのは嬉しいんだけど、捜す場所が犬小屋のオンパレードってのが無性に腹立つ。


え？もっと他にあるでしょ？私と一緒によく行くショッピングモールとかさ、甘味処とか定食屋とか公園とかさ。結構あるよね、この辺。何でそこ見向きもしないで犬小屋に走るの？え？私そんなに犬小屋に通ってましたっけ？

つーかこんな昼間から人様の犬小屋にお邪魔するほど私は暇人じゃねーんだよ。まじでこの子私が犬小屋で犬の戯れてるとでも思ってるのかな。


沖田｢居ねェなァ。｣


『にゃふ(居るわけねーだろ馬鹿じゃないの馬鹿でしょ。)』


沖田｢散歩中か？ロンリーソン。｣


『････････････、っ?!!(誰?!!)』


｢マゼンタの奴も居ねェ。｣とか何とか言葉を零した総悟に私は信じられない、と目を見開いた。

何ということだ。私は気づいてしまった。
もしかしなくても総悟は私を捜していたんじゃなくて純粋に犬小屋巡りをしていたという事か。しかも個人的に仲良しな犬を捜していたというのか。


こいつはとっくの前に私を捜すのに飽きていたらしい。
呑気に欠伸を噛み締めて、｢そろそろ昼寝するかねィ｣と帰路を辿り始めたそいつの足に、思い切り猫パンチを食らわせてやった。



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