酸いも甘いも噛み締めて【沖田総悟】

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「ホントなりふり構わずピンポンピンポン鳴らすの
やめた方がいいよ？君はインターフォン鳴らすしか
脳がないんですか！
それで俺が出てくる所動画撮って
You〇ubeに上げてお金稼ぐんだろ？出演料払えっつの！

つーか今はまだ二度寝のお時間なんだよ！
迷惑料と慰謝料払っ………あれ、」

『……出直してきます。というか二度と来ません』

「あァァァ、お客さんだった？！ちょ、ちょっと待って！」



くるりと方向転換して階段を駆け下りる。

何やら後ろが騒がしいが、私の脳内センサーが正常に働いているのなら、あの人に私の悩みを打ち明けるのは危険だと告げている。


……そうだった、総悟さんも言っていたんだった。
坂田さんは、自動販売機の下に頭を突っ込むよりも、更に酷い事をやらかしていると。



(…―――ッて、また、)



頭をよぎったその人の声と顔。
本当に、１日に何度チラつけば気が済むのだろう。



「おいっ、ちょっと待ててって！」

『…いえ、もう結構なので』

「その冷ややかな眼差し止めてくれない？！
この前公園でお汁粉奢ってくれた霧月ちゃんだろ？
待ちくたびれてたんだよー、あはは！」



ガシッと肩を掴まれて強制的に坂田さんの方を向けられる。

彼は冷や汗を流しながら必死に私に弁解の言葉を投げかけるが……どうにも響かないのだ。


だって、この人絶対社会不適合者じゃん。



『もう大丈夫ですので、どうぞ二度寝を貪っててください。
すみません、お邪魔してしまったみたいで』

「根に持ってる？！
…てか、君、全然大丈夫って顔してねーぞ？」

『っは、？』

「顔色、悪ィぜ。
どーだ、腹ん中の悩み吐き出してみれば？」

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