酸いも甘いも噛み締めて【沖田総悟】

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『すみません、何方かいらっしゃいませんか？』



週末の非番の日。
私は黒い隊服ではなくシンプルな着物に着替えてそこを訪れていた。

「そこ」というのも、非番の日に私がよく訪れる呉服屋でも、
大きなスーパーでも、甘味処でもなくて。


―――「万事屋銀ちゃん」


大きく達筆な字で書かれた、何でも屋というお店。
坂田さんと出会ってから1週間が経って、ようやく訪れる事ができたのだ。

……いや、訪れずにはいられなくなった、というのが正解かも。



やはり、総悟さんと居ると謎の動機や不思議な幸福感は、
あの口付け以来収まることはなくて。

それどころか、悪化…しているような気もして。


ふと、気づけば彼の事を考えてしまっていたり、
視界に彼が映れば、ついついその姿を追いかけてしまったり。



(このままじゃ、日常生活に支障をきたすわ)



そう思い始めて数日後。私は早速坂田さんを頼る事にした。

こんな厄介な種は、早めに取り除くのが最善でしょう。


―――それにしても、



(全然、音沙汰もない……)



1度2度とインターフォンを鳴らしてみるが反応無し。
声を上げてみてもやはりその結果は同じだった。


今は午前10時。……流石に起きているでしょうに。



『あの！すみません！！』

「うるっせェェェ！
新聞はとらねェって何度言ったら分かんだよ！！
いい加減お巡りさんに訴えるぞバカヤロウウウウ！！！」

『うわっ、』

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