酸いも甘いも噛み締めて【沖田総悟】

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(―――…眠れ、なかった)



結局、あの後はずっとあれやこれやと考えて。

何度も何度も自問自答を繰り返しては、趣味で買った人の心理学についての本を漁ってみたりして。
気づけば朝日が部屋の中を照らしていた。


それでも、やっぱり、答えなんか導く事ができなくて。
いつまで経っても消えてくれない違和感や、要領が悪い自分が嫌になる。



(……人の気持ちなんて、分かりたいと思っても、
安易に分かってしまうものなんかじゃない)



それはこの18年間で痛い程体験してきた事実だ。


人は上辺だけを取り繕って自分を良く見せようとする。
つまりは、その仮面の下に、どんな気持ちを抱えているのか計り知れないのだ。


―――だから、私は何度も人に裏切られてきたし、その裏を見抜く事すらできなかった。



どうせ、その人の本質を見つける事なんて、出来っこない。
だから人の事はあまり考えないようにしてきたのに。



『なんで、こんなに必死なんだろうなぁ……私』



ポツリと零した声は、やっぱり溢れ出すほどの疑問だらけで。
―――いっそのこと、模範解答でもあったらいいのにって、何度考えた事か。



働かない頭で立ち上がって隊服に着替える。

今日も今日とて満開の青空は、私の心とは正反対に輝いて見えた。

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