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『――――…っ、』
小さく小さく、それも聞こえないくらいにか細く吐き出された言葉に、思わず息が詰まった。
それが、ほんとうに、
―――心からの安堵のような声色をしていたから。
一瞬だけ、聞き間違いではないのかと疑った。
馬鹿な夢を見た私の、単なる幻聴なのではないかと。
けれど、頭を撫でる手がビックリするほど優しいとか、背中に回された手に力が込められたとか、
それは、……それはまるで、
愛しいものに触れるかのようで。
込み上げてきた涙を、総悟さんの隊服で拭う。
それが嬉しさからなのか、寂しさからなのか、分からない。
……分からない。なにも。
『…―――私、貴方のことよく分かりません。
はっきり、してくださいよ』
私のことを、どう思っているのか。
どうして、優しくするの。
どうして、抱き締めるの。
どうして、口付けるの。
酸いも甘いも、沢山あった。
それらを噛み締めた上で、私は貴方の事が好きなのだ。どうしようもなく。
―――総悟さんは、どうなのだろう。
「……アンタもな」
そうして落とされた音は、どこか苦しそうで、少しだけ枯れていて。
私は聞こえないふりをして、彼の体温を抱きしめ続けた。
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アルハ*平日低浮上*(プロフ) - 真里亞さん» わわ、ありがとうございます!本当に申し訳ないのですが、こちらの不手際で続編を一時削除しました(土下座)すぐにアップするので暫くお待ちくださると幸いです・・・! (2017年10月25日 23時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
真里亞(プロフ) - いつも楽しませてもらってます!続編を読ませてもらおうと思ったらパスワードがかかっていたので番号教えてほしいです! (2017年10月25日 23時) (レス) id: 5fd8901745 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - 浅葱さん» 勿体ないお言葉です・・・!本当に嬉しいですありがとうございます!浅葱さんに頼んでいただけるようこれからも頑張ります! (2017年9月10日 20時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 星500個つけたいくらい面白いです。更新頑張ってください (2017年9月10日 8時) (レス) id: 9acd7a7003 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - あやねーずさん» コメントありがとうございます!わわ、一気読みですか・・・!すっごく嬉しいです!ちょっとずつ進展できたらな、と思っていますのでご注目ください笑。頑張ります! (2017年9月9日 23時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルハ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bfd3c0329e2/
作成日時:2017年9月4日 23時