64 ページ28
.
ずる、と沖田の手から力が抜けて、土方の胸倉から滑り落ちる。
そしてその手はそのまま、自らの腰に携わった刀に落とされた。
ぎゅっと力を込められた手は、怒気も含まれているようである。
それを見送った土方は皺の寄った服を整えて「自分で確かめろ」と紫煙を吐き出した。
「だから、さっさと支度しろ。
5分後に出発するぞ」
「支度なんざ要らねェ。
一番隊は待機させてあるんで、いつても行けやす」
「そうか。
なら、お前は敵方の大将の首を頼む。
俺はAの救出に―――」
「ふざけんな」
握り締められた刀は土方の首元へ。
ピタリと付けられた刀身は、月の光を受けて冷たく輝いていた。
「アイツは俺のですぜィ」
そうして吐き出された言葉に、土方は溜息を吐き出す。
「……分かった。Aは地下牢に居る。
そこには人身 売買で捕まった一般人も居るそうだ。
一人も死なせるんじゃねェぞ」
「知ってらァ」
「…任せるからな」
「くどい」
煩わしそうな顔で土方を一瞥して、隊服のコートを羽織り、闇の中へと足を進めた沖田。
真っ黒な衣装では、すぐに彼の存在をも飲み込んでしまう。
土方はまだ光を灯す煙草を地面に落とすと、足で踏み消してその後ろを追ったのだ。
339人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - 真里亞さん» わわ、ありがとうございます!本当に申し訳ないのですが、こちらの不手際で続編を一時削除しました(土下座)すぐにアップするので暫くお待ちくださると幸いです・・・! (2017年10月25日 23時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
真里亞(プロフ) - いつも楽しませてもらってます!続編を読ませてもらおうと思ったらパスワードがかかっていたので番号教えてほしいです! (2017年10月25日 23時) (レス) id: 5fd8901745 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - 浅葱さん» 勿体ないお言葉です・・・!本当に嬉しいですありがとうございます!浅葱さんに頼んでいただけるようこれからも頑張ります! (2017年9月10日 20時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 星500個つけたいくらい面白いです。更新頑張ってください (2017年9月10日 8時) (レス) id: 9acd7a7003 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - あやねーずさん» コメントありがとうございます!わわ、一気読みですか・・・!すっごく嬉しいです!ちょっとずつ進展できたらな、と思っていますのでご注目ください笑。頑張ります! (2017年9月9日 23時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アルハ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bfd3c0329e2/
作成日時:2017年9月4日 23時