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嫌だったか。
そう尋ねた総悟さんにはっとして、その横顔を見た。
何を考えているのか、よく分からない表情。
どこか憂いを帯びたその表情の下には、一体どんな感情が隠されているのだろうか。
私に口付けをした時、どう思ったのだろう?
今私に尋ねた時、少しでも不安があったのかな?
――――貴方にとって、私はどんな存在なの?
数々の疑問を喉の奥に押し込んだ。
総悟さんにそんな疑問をぶつけても、きっと私がスキップを踏み出すような答えは得られない筈だから。
―――先の口付けが、彼を知る一歩となるのだろうか。
少なくとも、
(私は……嫌じゃ、なかった)
逃げ出したいような羞恥感はあったものの、拒絶する程の嫌気はなかった。―――正直に言えば、そのまま、瞼を伏せてしまいたかった。
でも、やっぱり、その一言は邪魔でしょう。
『……嫌じゃありませんでしたよ、特には』
そうやって、ぶっきらぼうな答えを紡いだ。
その言葉を聞き届けた総悟さんはギシ、と床を軋ませて立ち上がる。
「―――アンタ、本当馬鹿だねィ」
何故、私は貶されなくてはいけなかったのだろう。
吐き出すようにそう告げた彼は、ただ残り香を置いて自室へと消えたのだ。
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アルハ*平日低浮上*(プロフ) - 真里亞さん» わわ、ありがとうございます!本当に申し訳ないのですが、こちらの不手際で続編を一時削除しました(土下座)すぐにアップするので暫くお待ちくださると幸いです・・・! (2017年10月25日 23時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
真里亞(プロフ) - いつも楽しませてもらってます!続編を読ませてもらおうと思ったらパスワードがかかっていたので番号教えてほしいです! (2017年10月25日 23時) (レス) id: 5fd8901745 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - 浅葱さん» 勿体ないお言葉です・・・!本当に嬉しいですありがとうございます!浅葱さんに頼んでいただけるようこれからも頑張ります! (2017年9月10日 20時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 星500個つけたいくらい面白いです。更新頑張ってください (2017年9月10日 8時) (レス) id: 9acd7a7003 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - あやねーずさん» コメントありがとうございます!わわ、一気読みですか・・・!すっごく嬉しいです!ちょっとずつ進展できたらな、と思っていますのでご注目ください笑。頑張ります! (2017年9月9日 23時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルハ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bfd3c0329e2/
作成日時:2017年9月4日 23時