酸いも甘いも噛み締めて【沖田総悟】

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『―――“任務”で、あの人と夫婦を演じているのが。
‘’任務”で、あの人の隣に居ることが。
“任務”で、あの人を愛することが、嫌なんです』



“任務”なんていう肩書きが邪魔で邪魔で仕方ない。
でも、それが無くては、私が彼の隣に居る理由がない。


それが余計に辛くて、嫌で。



『何で、こんな事思うようになってしまったんでしょう。
彼の言動一つひとつに、意味を探したくなるんです』



私を心配する口ぶり、他愛ない話、優しい気遣い、
そして――――口付け。


総悟さんが何を考えて、あんな事をしたのか。
彼の真意が分からないのがもどかしい。



…――私に、少しでも‘’愛”を持ってくれているのだろうか。

そうやって期待してしまう私も、馬鹿馬鹿しくて、
嫌なのだ。



「……なんだそれ、簡単じゃねーか」

『え…？』


「“好き”なんだろ？沖田くんのことが」



そうやって、坂田さんは至極当たり前のように、そんな音を落とした。


私にとっては、

その答えは思いがけないもので。
肯定してはいけないもので。
あってはいけないもので。
信じられないもので。



(……好き？)



でも、やけにすんなりと通ったそれに、
私は戸惑うしかないのだ。

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