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『――――あ、』



「帰ったんですね」と廊下を歩く総悟さんに駆け寄る。短く返事を返した彼は私を横目で一瞥すると、大きな溜息を残して部屋に戻ろうと足を進めた。

彼が来た方からは複数人の声が聞こえてくるから、恐らく一番隊の皆が任務から戻ったのだろう。
医務室の前には沢山の列ができていた。


それに目も向けずにズンズンと部屋へと向かう総悟さんの背中を小走りに追いかける。



『総悟さん、』

「……ンだよ。俺ァ眠いんでィ」


部屋に入った総悟さんと廊下に立つ私を隔てる襖。
それを閉めて完全に間を遮断しようとした彼の胸板を押して、無理矢理部屋の中に踏み入れる。

そのまま彼の隊服を強く握り締めて、ザクロのような瞳を見上げた。



「っ、おい、何してやがんでィ」

『怪我してますよね?』

「あ?しちゃいねーよ」

『嘘ばっかり』



「私を誤魔化せると思っているんですか」と総悟さんの腕を握れば、彼は僅かに顔を歪めた。

私とて、1人の隊士として戦場に立っていた身だ。
血の匂いにはすぐ気づく。それから、彼の顔色が優れていない所も。



『医務室には?』

「……行ってねェ」

『何故行かないんですか。これ、結構深いでしょう』

「っるせーよ、アンタにゃ関係ねェだろィ」

『関係無いですよ。
だから、何も干渉しませんから教えてください』



とんだ屁理屈だ、「関係無いから教えろ」なんて。でも、頑固なこの人にはこのくらい言わないと、固いその口を開いてくれないでしょう。


何の障害も無く、混ざりあった視線を逸らす事なく見つめ合う事数十秒。
彼はうんざりしたような顔で自らの髪を乱暴に掻くと、薄く口を開いて空気を飲み込んだ。



「――――心配、させちまうだろィ」



そうして落とされた言葉。
誰がなんて、聞かなくても分かった。

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アルハ*平日低浮上*(プロフ) - しろさん» コメントありがとうございます!わぁぁ、そんな風に言ってくださると、本当に嬉しいです!更新頑張ります! (2017年9月4日 23時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - こんにちは!沖田さんの小説の中でもこの作品大好きです。これからも応援してます!! (2017年9月3日 22時) (レス) id: a9aae77c99 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - ちゃむさん» わぁぁ、とても嬉しおコメントありがとうございます!1番のお気に入りだなんて言ってもらえて私は幸せです泣。これからまた恋愛要素入れていくので楽しみになさっててください!^^*頑張ります! (2017年8月25日 23時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ(プロフ) - 初めまして。今この小説が1番お気に入りでして更新を毎回楽しみにしてます。とてもキュンキュンしながら楽しんでます!有難うございます!更新頑張って下さい^ - ^ (2017年8月20日 8時) (レス) id: 595d5740d4 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - 獅子の子さん» す、素敵な小説だなんて・・・!ありがとうございます!はい、カップルの方でもコメント頂いて歓喜極まっています笑これからもこの小説を楽しんでもらえたら嬉しいです^^* (2017年8月11日 14時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アルハ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bfd3c0329e2/  
作成日時:2017年8月2日 22時

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