39 ページ39
.
『ーーー沖田さん、』
沖田｢おはようございまさァ。｣
『······、おはようございます。』
俺の姿を捉えたAが赤い傘をさして
コチラに駆け寄ってきた。
ホッと息を吐いたのは、恐らく
この前の雨の日に俺が来なかったから、だろう。
ーーー何だ、俺もすっかりコイツの待ち人に
なっちまってたのか、と微笑を零す。
沖田｢はいどーぞ。｣
『わ、可愛い！何ですか、これ。』
いつものように潰れた駄菓子屋の軒下で
雨を凌ぐように肩を寄せて並んだ。
そうして差し出したのは飴細工。
沖田｢飴細工でさァ。アンタが好きそうだと思って。｣
『ありがとうございます、好きですこういうの！
·····でも、沖田さんコレ自分で
買ってきたんですか？
なんか、·····似合いすぎますね。』
沖田｢どう言う意味ですかィそれ。｣
特に深い意味はありません、と笑い出すA。
ーーーやっぱり、コイツは笑ってた方がいい。
これからも、ずっと。
ーーふと、視界の端に1人の青年が
走ってくるのが見えた。
沖田｢ーーA、｣
『はい？』
沖田｢すいやせん。···先に殴っちまいました。｣
『·····え、』
｢ーーーAさん!!｣
男がAを呼んだ。彼女はその声に驚きながらも
振り返り、男の姿を捉えると。
『ーー俊一郎、さん？』
小さくその名前を呟き、涙を流した。
ーーーただ、それが以前のような涙ではなく
嬉しさから来るものだという事は言うまでもなく。
沖田｢ーーー幸せに、な。｣
雨に掻き消される程の小さなソレを零し、
黒い傘を置いてその場を後にした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 538人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たろ。(プロフ) - ぐぬ、、、最高すぎる、、、 (2022年6月15日 19時) (
レス) @page47 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - ちょっぴり切なくて感動するし、設定とかもう全部引っくるめて大好きです！泣待ち人が攘夷浪士だったっていう設定もそれはそれでいいなって思いました笑笑笑 (2022年2月27日 20時) (レス) @page45 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
にょろ - 癒された…心があったかくなりました(*´ω｀*) (2018年11月15日 20時) (レス) id: 04a2fc2925 (このIDを非表示/違反報告)
沖田優朱 - めちゃくちゃ感動しました！ (2018年9月30日 2時) (レス) id: a3af942d1f (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - 涙腺が・・もう崩壊寸前なんですが・・。とっても感動しました！沖田の勝ち目が無いと分かっていても一途に思い続け、主人公の幸せを願うところとか最高過ぎて・・！カップルシリーズも頑張ってください！ (2018年1月21日 17時) (レス) id: 76bba592ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アルハ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bfd3c0329e2/
作成日時：2017年2月18日 9時
