雨の日に.【沖田総悟】

27 ページ27

.






折角の沖田さんの声が聞こえませんしね、と。
そんな殺し文句をへにゃり、と気の抜けた
笑顔で言ったA。



ーーーったく、人の気も知らねェで。
無自覚だと言うのだから余計タチが悪ィ。




『ーーいたっ、·····え、なんですか？』



沖田｢·····別に。｣





ぐにっ、と。
熱くなった体温に何だか悔しくなり、
隣で呑気に笑うソイツの頬を引っ張った。
思いの外柔らかく、伸びがいいソイツの頬に。




(ーー成程ねィ、道理でよく笑うわけだ。)





と、1人納得。俺の手を外そうと
俺の腕に力を込めるA。
弱々しい抵抗に再び笑みが零れ。




沖田｢何でィ、それで抵抗してるつもりかィ？｣



『···っ、ちょ離してください！
今絶対私すごい顔になっちゃってますから！』




とうとう足を使い始める始末。
流石に可哀想か、と笑いを堪えながら
離してやると。




『ーーーもう、何なんですか？
絶対頬伸びちゃいましたよ。見てください。
ほら、こんなに。』



沖田｢そんくれェで伸びるわけねェだろィ？
どっかの麦わらのル〇ィじゃあるめェし。
アンタは元々伸びる体質なんでィ。｣



『ーー意地悪ですね。』



沖田｢今頃ですかィ？｣




俺、巷じゃ有名なドSですぜィ、と言えば。
そういうの疎いんです、と。



ーーー成程、確かに。弄られても
そんな事に気づいていなさそうだな。




なんて思いながら。結構痛かったらしく、
頬を擦り続けるAに、
今度は優しく触れておいた。



.

28→←26

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す