塔の上のお姫サマ。２【神威】

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＿＿＿＿＿＿＿あと30日



最近神威がおかしい。



『ーー···？神威？』


神威｢·····へ?!何？｣



突然言葉が途切れたかと思い、彼を覗き見ると。ボーッと空中を眺め·····いや、私を見ているのか。私を眺めては停止している。何か顔に付いているのか、服に不具合でも見つけたのか、と尋ねるが。｢何も無い｣の一点張り。


元々変わった人だとは思っていたけれど、最近は更に変。ーーーと、人の事を上から言うが。実を言うと私も変なのだ。



＿＿＿ただの、臆病者なんだよ？



そう言って今にも泣きそうに顔を歪めた彼を見てから。見た目にそぐわない逞しい腕に包まれてから。どうにも私はおかしい。


時々消え入りそうな表情をする彼を無性に抱き締めたくなる事がある。その声をいつまでも聞いていたいと思う事がある。


ーーーもっと、もっと近い所に行きたいと思う。彼の、最も近い所に。



『ーー成程、これが母性本能というものなのね。』


神威｢ん？何か言った？｣


『いえ、何でもないです。』



そう軽く微笑めば、彼は一瞬言葉につまり、大きく咳払いをした後。｢お風呂入ってくるね。｣とそそくさと部屋を出ていった。


その後ろ姿を見つめながら。抱き締められた事を恥ずかしい、と1人思う事に少しもどかしさを感じながら。神威も、そうだったらいいのにと思うのは。



ーーー 一体、なんという感情なのだろうか。




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