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「父親」 ページ24

木兎目線


「赤葦、Aのお父さん来た。」



俺は、赤葦から連絡を受けて病院に行く前に勲さんに声をかけた。
どうせ来ないと思っていた。


勲さんは、Aに冷たかったから。






赤葦「っ、はじめまして、」


赤葦は泣いていたのか目は腫れていて、
挨拶をする赤葦を、無視して勲さんは一直線にAの元に駆け寄った。





勲「…起きないのか、」

赤葦「…医者からは、高熱で暫くは意識が戻らないとだけ聞きました。」





勲「…A、お前は母さんによく似て来た。
無理をするところも、我慢をするところも、

そんなお前が、嫌いだった。母さんを思い出させるお前を見ることすら、
俺には無理だった。」






勲「…お前まで、いなくなるのか、」







勲さんは、怯えるような声で言った。
震える手で、そっとAを撫でた。


誰よりもAのお母さんを愛していた、
誰よりも心が弱い、





誰よりも泣き虫な人。
そう、昔Aが言っていた。






勲「…赤葦くんだったか」

赤葦「っ、はい。」





勲「事情は聞いてる。俺は、君たちに関わるつもりは無い。
…この子が目覚める前に海外に赴任する予定だ。

…医師にね、静かな所で静養するのを進められてね、
丁度今の会社からもその地域にある支部に行くことを許可されたんだよ。





…もう、Aを傷つけないように、離れねばと思ってね。」





勲「…光太郎、赤葦くん、…この子を、頼んだよ。
俺は3日後にはもう旅立つ。何かあったらすぐに連絡してくれ。」





勲さんが精神的に療養が必要だったのは初めて知った。
それを治そうとしていたのも、


Aのことをしっかり考えていたことも。







勲さんはAに優しそうな笑顔を向けて
病室を出ていった。







赤葦「…木兎さんっ、俺のせいで、Aさんが、」






赤葦から全部聞いた。
ゆりちゃんがAを突き落としたのも、

今までの嫌がらせを全部した事も。






…許せないけど、俺が返すのは違うって思った。

「目覚め」→←「本当のこと」



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あまね(プロフ) - かんけつ?! (11月21日 20時) (レス) @page26 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
水無月のぞみ - ゆりって最低!これで終わりは嫌!夢主ちゃんが報われないとかありえない! (9月18日 6時) (レス) id: ba8b16685c (このIDを非表示/違反報告)
ピッキー(プロフ) - 続きまで読ませていただきました!内容がとても素敵でつい、一気に読んでしまいましたw続き楽しみにしてます! (2021年10月11日 17時) (レス) @page16 id: 277d56b499 (このIDを非表示/違反報告)
はむかつ - はじめまして!!こうゆう小説本当に好きでとっても素敵なお話で今ハマってます!とっても好きです!これからも応援してます!頑張ってください!! (2021年10月11日 0時) (レス) @page16 id: fffe7db0be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らーめん | 作成日時:2021年8月29日 22時

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