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「どうしました?」
不思議そうに私を見つめる諸伏さんと上原さん。
「ちゃんと…話します。妹のこと、」
嘘ついてて、すみません。
と頭を下げると諸伏さんは
「男子、三日会わざれば刮目して見よ。
…ご協力、感謝いたします。
家まで上原さんが送ります。
お気をつけて。」
と言い残して無精髭の刑事さんの元に行ってしまった。
「大変だったところ申し訳無いんだけど、言えるところまでで大丈夫だから詳しく話してくれる?」
パトカーに乗せられて事情聴取も終わり、触れられた所のDNAを採取した後家まで送って貰った。
ずっと見ていなかったスマホには、桃花からの文句のメッセージが入っていた。
それを無視してお風呂に入る。
触れられた所は念入りに、あの男を忘れるように普段は避ける匂いの強い石鹸を使って洗った。
明日また警察署に行かなければならない。
店長に断りのメッセージだけ送ってスマホを閉じる。
寝ようとベッドに横たわるとぞわりとさっきの出来事がフラッシュバックする。
怖い。怖かった、あの男は捕まったのか、
家の場所を知られていたらどうしよう、
上原さんが見張りを強化するからって言ってた、
でも怖い、怖い…
「諸伏さん…」
借りたままだったジャケットを抱きしめてまた少し泣いた。
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作者名:ひねり揚げ | 作成日時:2023年3月14日 10時