『また会えるなら』 ページ19
どうやら、彼は私の事を忘れているらしい。
私との思い出も、
私の名前も、
私という幼馴染みの存在も、全て。
「はぁ……」
溜息をつきながら日が暮れ始めた綺麗な空を鬱陶しく感じながら歩く。
今日は休日
本来ならば彼と_三郎とお出かけする筈だった。
でも、彼は私を忘れている。
少し肌寒くなってきたな、
なんて考えながら帰路を急ぐ。
どうしたら思い出すんだろう、
なぜ忘れたんだろう、
そんな事を考えていた。
ドンッ____
「え?」
背中を押され、体が浮く
最期に見えたのは、狂気で歪んだ笑顔の女性と
キレイなオッドアイの瞳を見開いた彼らの姿だった
三郎が幼馴染みを忘れたようで。
二郎と喧嘩してばかりの、友達についての話もしない三郎が
唯一、嬉しそうな顔をして俺にその子の事を話すのでどんな子なんだろうと、気になっていた。
紹介された時、可愛くて、人懐っこくて_三郎の事を理解していて。
素敵な子だな、と思った
妹の様に接し、彼女も俺の事を兄の様に接してくれていた
彼女は三郎の事を愛していたし、
三郎も彼女の事を愛していた
両片想い、というやつで。
早くくっつけばいいのになと思いながら日常を過していた。
そんな二人が何故。
離れなければいけないのだろうか
暗い部屋の中で独り。
いち兄も、低脳も声を掛けてきた
大丈夫か、お前のせいじゃない
大丈夫だよ
なんて返事をする。
大丈夫なんかじゃない、
僕のせいで彼女は_____
「ごめん、ごめん____守れなかった」
謝っても戻ってこない。
そんな事はわかっている。
大人ぶってても、こどものままで。
彼女が隣にいてくれた心強さ、安心さ、温かさ_
最期に見た、彼女の驚いたような目
「独りは、さみしい」
また会えるなら
「もう二度と、離しません」
『もう二度と、離れない』
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彩雪(プロフ) - みやせ 。@いもうとさん» コメントありがとうございます!不安しかない中作成したので、そう言って頂けて光栄です。 (2018年11月11日 2時) (レス) id: 7f0bcdc195 (このIDを非表示/違反報告)
みやせ 。@いもうと(プロフ) - 心臓が震えました。次の更新楽しみにしてます (2018年11月10日 21時) (レス) id: b60254a186 (このIDを非表示/違反報告)
彩雪(プロフ) - ポン酢さん» コメントありがとうございます!切ない恋を描くのは苦手だったので、その言葉だけで励みになります。 (2018年11月7日 4時) (レス) id: 7f0bcdc195 (このIDを非表示/違反報告)
ポン酢 - 胸が締めつけられるみたいな感じ…すっごく切ない… (2018年11月6日 22時) (レス) id: 0d659a75c1 (このIDを非表示/違反報告)
彩雪。(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます!泣いてくださって…とても嬉しいです、励みになります。 (2018年10月19日 23時) (レス) id: 7f0bcdc195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩雪。 | 作成日時:2018年10月6日 2時