『最初で最後』 ページ15
看護師が可笑しな事を言った後、廊下からガシャンと音がした
「どうかしたのかい?」
不思議に思い、尋ねてみると
「い、いえ…なんでもないです」
そう答えた
「?」
その後は気にしないで残りの仕事を片付けながら、診察をしていった。
午後19時を過ぎた頃、
休憩をしようと中庭で過ごしていると、
私の診察室と真反対の棟_つまり、手術室がある棟がバタバタと騒がしくなった。
珍しくはない光景な筈なのに、妙な違和感を覚えた
「じ、神宮寺先生っ!ここに居ましたか…!」
先程診察室で尋ねてきた看護師の女性が走ってきた、どうやら私を探していたようだ
「そんなに慌てて…どうしたんだい?」
「た、った今!事故で運び込まれてきた方が…先生の…恋人さんで!」
「私に_恋人は_」
「兎に角、来てください!」
私には恋人は居ないはず。
取り敢えず、彼女の言う通り手術室へと向かった
「神宮寺先生連れて来ました…!」
「神宮寺、先生…」
「私に恋人は居ないはずだけど…?
」
「しっかりしてください、神宮寺先生。貴方には可愛いらしい彼女が居たじゃないですか__」
手術室前に居た他の看護師とおかしな会話をする
「_神宮寺先生」
すると、手術室から外科医が出てきた
「なんでしょうか」
「_手を尽くしましたが、手遅れでした_」
手遅れ、それは誰でもわかるであろう、死。
死。
死__女性の、死。
死___恋人の、死。
死____私の、恋人の、死。
という事は。
私は彼女を忘れていた様で
彼女を忘れ、彼女が死を迎え、その事を思い出す。
それに当てはまるのは___
「なるほど…私は、彼女に最悪な思いをさせてしまったまま、彼女を救えないまま__」
これでは医師失格ではないか
「__すまなかった」
謝っても彼女は戻ってこない
わかりきっていることなんだ。
嗚呼、君は、私にとっての最初で最後の
『友人だよ』
「恋人だね」
next_GIGOLO
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彩雪(プロフ) - みやせ 。@いもうとさん» コメントありがとうございます!不安しかない中作成したので、そう言って頂けて光栄です。 (2018年11月11日 2時) (レス) id: 7f0bcdc195 (このIDを非表示/違反報告)
みやせ 。@いもうと(プロフ) - 心臓が震えました。次の更新楽しみにしてます (2018年11月10日 21時) (レス) id: b60254a186 (このIDを非表示/違反報告)
彩雪(プロフ) - ポン酢さん» コメントありがとうございます!切ない恋を描くのは苦手だったので、その言葉だけで励みになります。 (2018年11月7日 4時) (レス) id: 7f0bcdc195 (このIDを非表示/違反報告)
ポン酢 - 胸が締めつけられるみたいな感じ…すっごく切ない… (2018年11月6日 22時) (レス) id: 0d659a75c1 (このIDを非表示/違反報告)
彩雪。(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます!泣いてくださって…とても嬉しいです、励みになります。 (2018年10月19日 23時) (レス) id: 7f0bcdc195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩雪。 | 作成日時:2018年10月6日 2時