『隣に』 ページ13
「おい、冗談は…よせよ」
震える声で、いつもの様に笑って聞き流そうとした
でも、彼女は。
「本当に、誰…ですか…?…警察、呼びますよ…!」
聞きたくなかった、そんな言葉。
俺は彼女にプレゼントする筈だったものを落として、
逃げるように走った。
なんで?
なんで俺は逃げた?
なんで彼女は俺をあんな目で見た?
なんであの時、俺は受け流せなかった?
なんで。
そうだ。
それは、アイツが、
二度と俺を思い出せなくなったから。
俺は知っている、この症状を
以前、幻太郎が編集者にこのネタはどうかと言われたと話していたからだ
「忘愛症候群って、現実でも起こる事なのかよ…ッ」
忘愛症候群と断定できたのは、昨日遅くまで一緒に居たから。
だから、記憶喪失になるのはない。
彼女は、そういう類はならないのだ。
彼女が語っていた。
俺に教えてくれた、彼女だけの秘密を。
カラーン_コーン_
近くの教会の鐘が鳴る。
そこは彼女が落ち着くと連れて行ってくれた教会で。
いつか結婚する時はここで式を挙げようと約束していた教会で。
この先ずっと、
君の隣には俺がいて。
俺の隣には君がいる筈だったのに。
「なんで……こうなったんだよ」
男が去った女の場所には、
50本の薔薇の花束と
輝く指輪が入った箱が落ちていた
隣に
「彼女はいない」
『誰かがいない』
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彩雪(プロフ) - みやせ 。@いもうとさん» コメントありがとうございます!不安しかない中作成したので、そう言って頂けて光栄です。 (2018年11月11日 2時) (レス) id: 7f0bcdc195 (このIDを非表示/違反報告)
みやせ 。@いもうと(プロフ) - 心臓が震えました。次の更新楽しみにしてます (2018年11月10日 21時) (レス) id: b60254a186 (このIDを非表示/違反報告)
彩雪(プロフ) - ポン酢さん» コメントありがとうございます!切ない恋を描くのは苦手だったので、その言葉だけで励みになります。 (2018年11月7日 4時) (レス) id: 7f0bcdc195 (このIDを非表示/違反報告)
ポン酢 - 胸が締めつけられるみたいな感じ…すっごく切ない… (2018年11月6日 22時) (レス) id: 0d659a75c1 (このIDを非表示/違反報告)
彩雪。(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます!泣いてくださって…とても嬉しいです、励みになります。 (2018年10月19日 23時) (レス) id: 7f0bcdc195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩雪。 | 作成日時:2018年10月6日 2時