「愛してるの言葉を」 ページ5
彼女は先生の友人で、俺の女性恐怖症を克服する為の手伝いをしてくれている
二人だけで会ったり、先生や独歩と4人で釣りに出掛けたり、など
まぁ、沢山話して沢山会う内に俺は彼女に恋をした
恋をしても完全に克服した訳ではないので、
一緒の部屋にいることは平気でも、
隣に座るのはもちろん、向き合って座ったり、
一体一で話すのはスーツを着ていないと無理だけど。
それでも、彼女の事を好いている。
否、心から愛してる。
けれどこれは片想い
彼女は鋭いくせして変なところで鈍感で、俺の想いには気付いてくれない。
しかも、独歩に恋をしているようだった
最近やたらと独歩と話していたり、滅多にない独歩の休日に買い物へ出掛けたり。
小学生の頃からの幼馴染みに対して
妬ましい、羨ましいといった汚い感情が沸いたのには驚いた
その時、彼女に対して幼馴染みを取られてしまった、という感情も沸いたが
帰ってきた独歩と飯を食べている時、
「いいよなー、独歩は」
「は?」
「彼女と出掛けられて」
そんな欲望と皮肉が混ざった愚痴をぶつけただけの俺に対して
何言ってんだこいつ、みたいな顔をしていた
__思い出しただけで腹が立ってきた
『おーい、伊弉冉一二三さーん』
「えっ、あっ、何!?」
『そんな驚かなくても…ぼーっとしてたから』
「ご、ごめん」
今は彼女と居るのに、過去のことを思い出してしまった
『んもー、久しぶりに会えたのにぼーっとするのは酷いなぁ?』
「ごめんって!」
『ご飯かデザート奢ってくれるなら許します』
「好きなの選んでいいから、許して?」
そう言うと、嬉しそうな笑みを浮かべてメニューに目を向けた
悩んでいる顔も可愛いなぁと思いつつ、
どれだけ自分はこの子に夢中になっているんだろう
と、改めて思う
ふと、新人時代に先輩に教えられた雑学のようなものを思い出した
彼女は博識だからわかるかな、知らなかったら知らなかったでそれは悲しいけど。
伝わって欲しいけど、伝わって欲しくない。
そんな思いもありながら彼女に声をかけた
好きだ、愛してる、
そんな言葉を真っ直ぐには君には言えないけれど、
せめて言わせて欲しい
「ねぇ_」
『ん?』
「月が綺麗ですね」
next_有栖川帝統
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早乙女 碧羽 - 前作に続き完璧ですね。才能とセンスを感じました (2019年11月18日 19時) (レス) id: 534a87d401 (このIDを非表示/違反報告)
彩雪(プロフ) - 琴葉(ポン酢)さん» ありがとうございます、コメント頂き光栄です。 (2018年12月6日 3時) (レス) id: 7f0bcdc195 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(ポン酢) - 続編おめでとうございます (2018年12月2日 1時) (レス) id: cc1af6d8b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩雪。 | 作成日時:2018年11月20日 22時