九十一話 疑問と ページ41
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「___待ってたぜ。A」
『与謝野さん。宮沢さん。下がってください』
「何言って___!」
『彼は私のお客様です。彼の相手ができるのは、私しかいませんから』
安心させるように与謝野達に微笑み、中也を鋭い目線で貫いた
「___単刀直入に云うぜ。マフィアに来い。A」
手帳をポケットから取り出し、胸の前で握り締める
『____私は、其方には行きません』
「__」
『そして、あなたには私を殺せない。殺せば命令違反。それに異能力で防がれる』
「そうだな」
『中原さんは、ミスをしています』
「__ミス?」
『一つ目__あの時、私をマフィアに勧誘しなかったこと』
『探偵社という場所__否、太宰治という存在に出会う前だったら、私はマフィアに入っていました』
太宰の名前に中也は顔を歪める
『彼との約束が、私を探偵社に引き止めている』
「約束なんざ破ってしまえばいいだけの話だろ」
『私はあの人たちから教わったことは、破る気はありません』
「__あの人?」
手帳をパラパラと捲り、その頁を開く
『″約束は破ってはいけない。守るものである″』
『まだ約束を果たすことは出来ていないから、私はここに留まる』
『私は言いました。マフィアに入るのに躊躇は無いと。ならあの時、私を勧誘しておけばよかったのです。』
「__あの時は」
『それに私は、マフィアという生き方を羨ましいと言いました』
『__何故、貴方は彼処で私を引き入れなかった?』
ただ疑問を、敵へとぶつけた
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作者名:舞。 | 作成日時:2019年10月31日 21時