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八十六話 来客 ページ38

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靴音を響かせ線路の上を歩く中也。


講堂には社員の声が響く。



「監視映像弐番と伍番が停止!」


「自動迎撃銃座を起動せよ!」


何丁もの銃が展開され、銃口を中也に向ける。

中也は其れに気付き、口角を吊り上げた。

弾丸の雨が敵を屠らんと一斉に発射される。

だがその弾丸は届くことは無く、拳銃は一つ残らず破壊された。


中也は、只外套をはためかせ立っている。


「特使の接待役がこんな木偶とは、泣かせる人手不足じゃねえか。探偵社」


そう云うと、監視カメラに向かって挑発するように右手の人差し指を曲げて見せた。

「生きてる奴が出て来いよ___それと、A。いるんだろ?」

それを受け、独り映像から離れていた乱歩は福沢に歩み寄った。

「社長」

福沢は乱歩に視線を向ける。

「お前も私と同意見か」

乱歩はコク、と頷いた。




鼻唄を謳い乍ら線路を辿る中也の前に、鉈を携えた与謝野と賢治が姿を現した。


中也は拍子抜けしたという様に溜息を吐く。


「たった二人か。見縊られた話だぜ。ま、そりゃあAは出さねぇか」



「探偵社は依頼も指名も事前予約制でねェ。対応が不満なら余所を中りな」



「マフィアが敵拠点で暴れるのに、予約が要ると思うか?」



「はい!要らないと思います!」



挙手して元気よく答える賢治。


与謝野はそんな彼を見て困ったような顔をし、溜息を吐いた。



「賢治の云う通りだよ。暴れたいなら好きにしな。けどアンタは暴れに来たんじゃない。だろ?」



与謝野の言葉に、中也は少し意外そうな顔をした。



「ほう。何故そう思う?」


「ウチは探偵だよ。訪客の目的位一目で見抜けなくてどうするンだい」


「お宅の社長は?」



「そこだよ」


親指で監視カメラを示した与謝野。


中也はそのカメラに近付き、外套から取り出した一枚の写真をレンズの前に掲げた。


「うちの首領からお宅等に贈品(プレゼント)だ」



その写真に、Aは唇を噛み締めた



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作者名:舞。 | 作成日時:2019年10月31日 21時

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